独立行政法人経済産業研究所（RIETI）が2025年6月25日に開催したシンポジウム「被災者データベース（DB）が目指したもの～能登半島地震の経験から」について、災害対応におけるデジタル化と被災者支援データベースの活用に関する知見をまとめたものです。
同シンポジウムでは、官民防災DX連携協議会事務局長の江口清貴氏、大阪公立大学准教授の菅野拓氏、デジタル庁統括官の村上敬亮氏が講演し、西垣淳子RIETI客員研究員が司会を務めました。2024年1月1日に発生した能登半島地震への対応を通じて得られた教訓と、被災者データベースの構築・運用における課題や成果が詳細に検討されました。講演資料と動画配信により、災害データ管理とデジタル技術を活用した緊急時対応の改善策について政府・学術両面からの知見が共有されています。
被災者データベースは、災害発生時の迅速な被災者支援と効率的な行政対応を実現するための重要なインフラとして位置づけられており、個人情報保護と情報共有のバランス、自治体間の連携強化、データ標準化の重要性などが議論されました。能登半島地震での実践を通じて、平時からの準備体制構築、関係機関との連携強化、システムの相互運用性確保の必要性が明らかになっています。
デジタル庁をはじめとする政府機関と学術機関の連携により、今後の災害対応におけるDX（デジタルトランスフォーメーション）推進の方向性と具体的な実装戦略が示されており、全国の自治体における災害対応能力向上に向けた政策提言も行われています。
記事は、能登半島地震の経験を踏まえた被災者データベースの構築が、将来の大規模災害に備えた社会基盤強化と効果的な災害対応システムの実現に向けた重要な一歩であると結論づけています。