ジェトロが2025年8月4日に公表した、中国におけるインダストリアルインターネット（IIOT）の政策動向と急速な発展について分析した連載記事の第1回です。
中国の「中国版」IIOTは、生産ラインの自動化・省人化だけでなく、設計から販売・メンテナンスまでの全工程をシステムで一体化する包括的なアプローチが特徴となっています。この成果は世界のライトハウス工場189カ所のうち中国が72カ所（38.1％）を占めることに表れており、特にエンド・ツー・エンド形式では27カ所と他地域を大きく上回っています。
政策面では2015年の「中国製造2025」で情報化と工業化の融合を国家戦略として打ち出し、2016年には「工業インターネット」という用語が初登場しました。2018年から2020年を「立ち上げ段階」、2021年から2023年を「急速成長期」と位置づけ、段階的な発展を進めています。
第14次5カ年規画（2021-2025年）では、DX化推進の重点領域としてIIOTを明確に位置づけ、標識解析システム構築、工業ソフトウエア研究開発、国際水準のプラットフォーム建設などを具体化しました。2025年までに一定規模以上の製造業の7割以上でDX・ネットワーク化を実現し、500カ所以上のスマート生産モデル工場建設を目標としています。
2022年以降はAI応用と5G融合に重点を移し、2024年12月には「5G＋IIOT」512プロジェクトを発表し、2027年までに5G工場1万カ所設立、パイロット都市20カ所以上建設を目標としています。地方政府レベルでも広東省、江蘇省、浙江省など製造業集積地域で助成金支給や利子優遇などの具体的支援策を展開しています。
記事は、約10年にわたる中国政府の体系的な政策推進により、中国のIIOT産業が世界をリードする地位を確立したことを示しています。