ジェトロ・ソウル事務所が2025年8月4日に公表した、韓国のスポーツ産業の現状と日本企業のビジネスチャンス分析について解説したレポートです。
韓国のスポーツ産業は2023年に過去最高の81兆ウォン（約8兆1,000億円）の売上高を記録し、前年比3.7％増の着実な成長を示しています。内訳はスポーツ施設業が21兆7,560億ウォン（前年比2.0％増）、スポーツ用品業が34兆4,750億ウォン（同4.7％増）、スポーツサービス業が24兆8,010億ウォン（同3.9％増）となっており、全業種でコロナ前の2019年水準まで回復しています。
特に注目すべきはプロ野球の人気急上昇で、2024年のKBO観客数は前年比34.4％増の1,088万7,705人と初めて1,000万人を突破しました。この背景には総合エンターテインメント化の進展があり、AI・デジタル技術を活用した演出、K-POPとの連携、SNSを通じたファンダム形成など多角的な取り組みが功を奏しています。
韓国政府は「第4次スポーツ産業振興中長期計画」でスポーツ産業の市場規模を2028年までに105兆ウォンにする目標を設定し、売上高100億ウォン以上の事業者を1,000社まで拡大、従事者数を60万人に増加させる計画を打ち出しています。
日本企業のビジネスチャンスとして、スポーツテック分野ではウエアラブル機器・AIやXR技術を活用した協業、スポーツツーリズム分野では観戦パッケージツアーや体験ツアーの開発、スポーツコンテンツ分野では日韓共同制作やOTTプラットフォームでの配信など、3つの視点での参入可能性が示されています。
記事は、韓国のスポーツ産業が技術とエンターテインメントを融合させた新しいモデルを構築しており、日本企業が技術力やIP資産を活かした協働により両国のスポーツ産業発展に貢献できると結論づけています。