ジェトロが2025年8月4日に公表した、中国のIIOT産業エコシステムと企業導入事例を詳細分析した連載記事の第2回です。
中国のIIOT市場は急成長を続けており、賽迪顧問の予測では2023年から2026年にかけて年間平均成長率14.7％を記録し、2026年には市場規模が1兆4,862億元（約30兆円）に達する見込みです。産業構造は階層ごとに水平分業が進展し、PaaS層では百度、テンセント、華為技術、アリババグループ、京東グループなどITジャイアントが参入し、SaaS層では中小企業やスタートアップも多数参画しています。
中国企業のIIOT導入は「自社開発型」と「他社活用型」の2つのアプローチに分類されます。自社開発型の代表例として、ハイアールはCOSMOPlatでマス・カスタマイゼーションを実現し、開発から販売までのサプライチェーンを一元管理してコスト削減を達成しています。三一重工はROOTCLOUDによって中国国内40以上のスマート工場を統合管理し、北京工場と長沙18号工場がライトハウス工場に認定されています。さらに2022年にはインドネシアでクロスボーダーIIOTを実現し、3,000キロ離れた中国本社とリアルタイム情報共有を行っています。
他社活用型では、老板電器が第3工場でほぼ全工程の完全無人化を実現し、アリババクラウドやERP企業との連携で在庫を極力持たないオンデマンド発注システムを構築しています。広汽埃安も外部ソリューション企業と連携してスマート工場を建設しています。
日系企業への提言として、コア技術に関わる自社開発領域の明確化と、効率的な他社プラットフォーム活用領域の整理が重要であり、知的財産保護とデータ管理を重視した全体戦略策定の必要性が示されています。
記事は、中国企業が政府支援の下で全体最適化を実現し、生産効率向上と競争力強化を達成していることを具体的事例で実証しています。