JFC/FCの皆様・自治体等許認可権者の皆様・製作者の皆様 ロケ撮影ハンドブック

首相官邸の知的財産戦略本部が作成した、映画・ドラマ等のロケ撮影に関する包括的なガイドブックで、関係者間の円滑な撮影実現を目的としたものです。

ロケ撮影の公的意義と経済効果

政府はロケ誘致・ロケ撮影を応援しており、ロケ誘致によるロケ撮影の実施は、民間の皆様の利益にとどまらない効果があることを認識しています。ロケ撮影を通じて、雇用創出等を通じた経済効果・地域振興とともに、人材育成・技術底上げによる日本の映像産業の振興や日本の自然的・文化的魅力の世界への発信を通じたインバウンドの促進につながる効果も期待されます。

この効果的な取り組みを実現するため、ロケ撮影の一般的な流れは下図のように整備されています。ロケ撮影の円滑な実施には、撮影当権者において、ロケ撮影の社会的な意義を踏まえ、ロケ撮影の実施主体と一緒に考えるという基本姿勢で臨み、状況に応じたアドバイスや、適切な関係者の紹介など、積極的な対応が望まれます。

関係機関の協力体制構築

外国映像作品の場合には、海外製作者等が発注元、日本の製作者等が日本での撮影において実質的な制作業務の役割を担うことが多く、より調整が複雑となることにも留意が必要です。ロケ撮影に関連する許認可や、周辺住民の皆様を含めた理解を得るための合意形成を得るための取組に合わせたサポートを行うため、各地域において、フィルムコミッション（FC）が設置され、製作者のサポートを行っています。

各地域のFCの連絡窓口はハンドブックの参考資料に記載されており、本ハンドブック別添はロケ撮影に関する事例集となっています。許認可に係る予見可能性を高めるため、撮影需要の高いロケーション（渋谷スクランブル交差点や新宿駅周辺、空港など）や、特殊な撮影（カーアクション、爆破等）について、過去の撮影事例を掲載しています。

許認可手続きの円滑化

本事例集に掲載しているロケーションについても含まれますが、実際の許認可等を確約するものではないことに留意が必要です。製作者においては、撮影を希望する地域の実情や、撮影しようとする映像作品に対する地域住民の皆様の反応等も参考にしながら、必要に応じてFCに相談したり、撮影内容の変更等を検討するなど、柔軟な対応が望まれる場合もあることが考えられます。

ロケ撮影に当たり、必要な許可を教えてください。ロケ撮影の内容（カーアクション、爆破シーン等）、場所（道路、公園、港湾、公園等）によって、各種の許認可が必要になる場合があります。本ハンドブックの18-23頁には、ロケ撮影に係る主な許認可等の窓口・申請窓口を記載しています。

道路関係許可の具体例

道路関係については、道路使用許可と道路占用許可の違いを理解する必要があります。一般的にロケ撮影により道路を使用する場合などには道路使用許可が必要です。また、道路上にベンチや看板を設置するなど、道路に一定の物件や施設などを設置し、継続して道路を使用する場合には道路占用許可が必要です。その上で、道路使用許可はロケ撮影に係る場所を管轄する警察署へ許可申請を行い、道路占用許可は道路を管理する事業所に許可申請が必要です。

なお、国道については、国土交通省の地方整備局等、地方公共団体管理の国道や都道府県道、市町村道は、それぞれの道路管理者が窓口となります。これらの手続きを円滑に進めるため、製作者は事前にFCや関係機関と十分な調整を行うことが重要です。

撮影実施における配慮事項

製作者等への適切な支援等として、許認可現場で求められることの周知・浸透や対応の円滑化の要請、JFC/FCへの許認可等情報の共有、製作者等（申請者）への適切な助言、情報提供や効率的な手続の実施による円滑化が求められています。また、ロケ撮影に係る対応窓口について、コンプライアンスを基本としたロケ撮影の実施、海外作品を日本で撮影する際に留意すべき事項について、JFC/FC、自治体等許認可権者との連携体制の構築、地域住民への理解等の配慮が必要です。

記事は、ロケ撮影において参考となる情報を整理し、関係者間の連携強化により日本の映像産業振興と地域経済の活性化を同時に実現する基盤が整備されたと結論づけています。