世界経済の潮流2025年Ⅰ 第2章第2節:米国の通商政策と通商政策が財貿易・物価に与える影響

内閣府が公表した「世界経済の潮流2025年Ⅰ」第2章第2節では、第二次トランプ政権の通商政策とその経済的影響を包括的に分析している。

米国の通商政策の動向

第二次政権では国際緊急経済権限法(IEEPA)を新たに活用し、「国家緊急事態」宣言により迅速な関税措置を可能にした。発足1か月間の大統領令署名数は第一次政権の13件から70件に急増し、政策実施の迅速化を実現している。

品目別関税では、鉄鋼・アルミニウムに3月12日から一律25%、6月4日以降は50%の追加関税を課し、例外措置を全廃した。派生品範囲も拡大し、ビール缶や白物家電も対象に追加された。自動車・同部品には4月3日から25%の追加関税を適用し、USMCA準拠の例外規定を設けている。

国別関税では、対中関税を2月4日の10%から段階的に引上げ、4月10日には累計145%に達した。しかし5月12日の米中閣僚級協議(ジュネーブ)により、5月14日から54%に引下げ、さらに90日間は30%まで一時引下げする暫定措置で合意した。中国も125%から34%、暫定的に10%まで引下げている。

「相互関税」(Reciprocal Tariff)は4月5日に発効し、ほぼ全世界を対象に基本10%の追加関税を課している。57か国・地域には国別上乗せ税率を設定し、主要国では日本24%、中国34%、EU20%、インド26%となっている。適用除外として232条調査対象品目、郵便、半導体等を指定している。

通商政策が財貿易に与える影響

2025年3月には過去最大の財貿易赤字870億ドル(輸入2,759億ドル、輸出1,890億ドル)を記録した。関税措置を前にした駆け込み輸入が顕著で、1月にはスイスからの非貨幣用金が急増し、3月にはアイルランドからの医薬品が154.5億ドル増加した。4月には反動減により消費財、工業原材料、自動車・同部品の輸入が大幅減少している。

各国の対抗措置では、中国が段階的報復関税により4月11日に125%まで引上げたが、5月の協議で緩和に転じた。カナダは総額1,550億カナダドル分に25%報復関税を設定し、うち300億カナダドル分を実際に発動したが、残り1,250億カナダドル分は米国の措置見直しで発動見送りとなった。メキシコは対話路線を選択し報復措置を自制している。

通商政策が物価に与える影響

関税措置により輸入品価格が直接的に上昇し、国内競合品の価格押上げと投入品コスト増による川下産業への波及が生じている。鉄鋼・アルミニウムの50%関税は建設・製造業のコスト増を招き、自動車の25%関税は車両価格を押上げている。「相互関税」は幅広い生活必需品価格の上昇をもたらし、サプライチェーンの混乱と調達先変更に伴うコスト増も発生している。

「相互関税」発表時には金融市場が大きく変動し、75超の貿易相手国から協議要請があったとされる。IEEPA活用による包括的関税体系の構築は歴史的転換点を示しており、WTO体制との整合性や同盟国との関係悪化リスクなど中長期的課題も指摘されている。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。

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