8月マネタリーベース概況
日本銀行調査統計局が2025年9月2日に発表した8月のマネタリーベース統計。平均残高は643兆7,775億円(前年同月比0.6%増)となり、9か月ぶりのプラス成長を記録した。
構成要素別の動向
日本銀行券発行高:
- 平均残高: 117兆3,052億円(前年同月比▲1.2%)
- デジタル決済普及により現金需要が引き続き減少
日銀当座預金:
- 平均残高: 521兆8,380億円(前年同月比1.0%増)
- 前月の1.5%増から伸び率は鈍化も、プラス成長を維持
準備預金:
- 平均残高: 476兆2,362億円(前年同月比3.7%増)
- 金融機関の準備預金需要が堅調に推移
季節調整済み前月比年率
マネタリーベースの季節調整済み前月比年率は0.6%と、前月(2.8%)から大幅に減速。日本銀行の金融政策正常化プロセスに伴い、流動性供給ペースが調整されている。
月末残高の推移
2025年8月末時点:
- マネタリーベース総額: 645兆5,925億円
- 日銀当座預金: 523兆6,395億円
- 日本銀行券発行高: 117兆3,184億円
金融政策正常化の影響
2025年1-3月期に一時的な大幅縮小(前年比▲2.5%)を経験した後、4-6月期の▲3.9%から持ち直し基調が鮮明。日本銀行の段階的な政策調整により、マネタリーベースの成長率は安定化に向かいつつある。
今後の見通し
現金需要の構造的減少が継続する一方、金融政策の正常化プロセスにより日銀当座預金の増加ペースは緩やかに鈍化。マネタリーベース全体としては低成長ながらも安定的な推移が予想される。