調査概要
日本銀行金融市場局が2025年8月1日から7日まで実施した債券市場サーベイ結果を発表。調査対象は国債売買オペ対象先75先および大手機関投資家(生命保険会社、損害保険会社、投資信託委託会社等)。
債券市場機能度の評価
現状の機能度判断DI: ▲44ポイント(前回▲34ポイントから10ポイント悪化)
- 機能度「高い」: 1先(1.3%)
- 機能度「さほど高くない」: 48先(64.0%)
- 機能度「低い」: 26先(34.7%)
3か月前比較の変化DI: ▲47ポイント(前回▲47ポイントと同水準)
- 改善: 9先(12.0%)
- 変化なし: 62先(82.7%)
- 低下: 4先(5.3%)
流動性指標の詳細分析
ビッド・アスク・スプレッド:
- 現状判断DI: ▲40ポイント(タイト1先、ワイド31先)
- 変化判断DI: ▲56ポイント(拡大傾向が継続)
注文量(板の厚み):
- 現状判断DI: ▲45ポイント(少ない34先、多い0先)
- 変化判断DI: ▲52ポイント(減少12先、増加5先)
取引頻度・相手数・ロット:
- 取引頻度DI: ▲11ポイント(前回▲12ポイントから微改善)
- 取引相手数DI: ▲14ポイントで横ばい
- 取引ロットDI: ▲20ポイント(小口化傾向継続)
長期金利見通し(2026年度末予想)
各年限の利回り予想(平均値):
- 2年債: 1.14%(現在0.82%から上昇予想)
- 5年債: 1.36%
- 10年債: 1.75%(中央値1.75%)
- 20年債: 2.61%(ほぼ横ばい)
- 30年債: 3.09%
10年債確率分布予想(2026年度末):
- 1.51-1.75%: 33.1%(最頻回答レンジ)
- 1.76-2.00%: 24.1%
- 1.26-1.50%: 19.2%
金融政策への示唆
市場機能度の悪化傾向が継続する中、参加者は段階的な金利上昇を予想。10年債利回りは現状から約20-25ベーシスポイントの上昇を見込んでおり、日本銀行の正常化プロセスを織り込んだ慎重な市場見通しが示された。