日本銀行秋田支店が2025年7月に公表した秋田県内の金融経済概況について分析したものです。
秋田県内景気は一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復しています。需要項目別では、個人消費が物価上昇の影響を受けつつも緩やかに回復しており、大型小売店売上高が弱含み、ドラッグストア販売額が増加（前年比＋12.4％）、コンビニエンスストア販売額が持ち直し（前年比＋2.5％）、乗用車販売も持ち直している一方、家電販売額やホームセンター販売額は弱めの動きとなっています。サービス消費については観光や企業・団体需要が好調に推移し着実に回復しています。公共投資は緩やかに増加しており、6月の公共工事請負金額が前年比＋65.0％と大幅に増加しました。
住宅投資は弱めの動きとなっている一方、5月の新設住宅着工戸数は前年比＋24.8％と増加しています。設備投資は高めの水準ながら増勢が鈍化しており、6月短観（秋田県内）によると2025年度は製造業で前年度比▲29.2％の大幅減少、全産業で前年度比▲10.5％減少の計画となっています。生産は弱めの動きとなっており、4月の鉱工業生産指数が前月比▲5.3％となり、主力の電子部品・デバイスが弱めの動き、食料品が横ばい圏内、汎用・業務用機械が増加、生産用機械が減少という業種別の動きを示しています。
雇用・所得環境は緩やかに改善している一方、5月の有効求人倍率は1.20倍と前月から低下し、4月の現金給与総額は前年比▲1.4％と前年を下回りました。物価は6月の消費者物価指数（生鮮食品を除く総合、秋田市）が前年比＋2.4％と前年を上回っています。金融面では貸出が前年並みで推移し、貸出約定平均金利が緩やかに上昇、預金・実質預金ともに前年並みで推移しています。
記事は、秋田県内景気が緩やかな回復基調にある一方、生産の弱さや設備投資の減少計画など一部に弱めの動きが見られることを示しています。