米国税関・国境警備局(CBP)が8月15日に発表した、非課税基準額(デミニミス)ルール廃止に伴う国際郵便貨物の関税支払いに関するガイダンスの詳細を解説したものです。
デミニミスルール廃止の背景
ドナルド・トランプ大統領は7月30日、米国東部時間8月29日午前0時1分以降に通関する貨物からデミニミスルールの適用を停止する大統領令を発表しました。これにより、従来は免税対象とされていた800ドル以下の少額貨物に対しても関税が課されることになりました。同大統領令では、国際郵便ネットワークを通じた輸入に対する関税率として、2つの選択肢が設定されています。
関税支払い方法の選択肢
関税の支払い方法として、通関業者は以下の2つの方式から選択できます。第一に、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税率を郵便貨物の原産国・価値に対して適用する従価税、第二に重量税として、IEEPA関税率が16%未満の場合に1点当たり80ドル、16~25%の場合に同160ドル、25%を超える場合に同200ドルを課すものです。ただし、2026年2月28日以降は従価税のみが適用されます。
通関業者の義務と手続き
今回のガイダンスでは、通関業者が対象となる全ての郵便貨物に対して同一の支払い方法を選択しなければならないことが明確にされました。ただし、月に1回、24時間前にCBPに通知することで支払い方法を変更できます。また、通関業者は国際郵便ネットワークを通じた輸入に関して、貨物の到着前にCBPに通知する必要があり、その際、全ての貨物の原産国を明記しなければなりません。従価税を選択する場合は、貨物の合計価値も申告する必要があります。
関税支払いの期限と手続き
関税の支払い期限は、輸入月の翌月の7営業日目までと定められています。例えば、2025年9月内に輸入した場合は、10月9日までに支払わなければならず、支払いを遅延すれば利息が課されます。ガイダンスでは、関税支払い方法や郵便貨物の数、関税総額などを申告するワークシートも提供されており、通関業者による保証金取得の手続きについても詳細に解説されています。
運用上の注意点
関税支払い方法の変更は、[email protected]および[email protected]に通知する必要があります。ただし、2026年2月28日以降は従価税のみが適用されるため、選択や変更はできなくなります。ワークシートはガイダンスからダウンロード可能で、通関業者の実務負担軽減が図られています。
記事は、このガイダンスにより国際郵便を通じた少額貨物の輸入手続きが大幅に変更され、通関業者や輸入者に新たな義務と手続きが課されることを明確に示していると結論づけています。