日本銀行福岡支店が2025年7月に公表した九州・沖縄地域の金融経済概況について分析したものです。
九州・沖縄の景気は一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復しています。最終需要の動向では、個人消費が物価上昇などの影響を受けつつも堅調に推移しており、具体的には百貨店売上高が高水準ながら足もとでは前年を下回り、スーパー売上高が底堅く推移、コンビニエンスストア売上高が堅調に推移、乗用車新車登録台数が持ち直し、旅行・観光が増加している状況です。住宅投資は弱含んでおり、5月の新設住宅着工戸数は貸家の減少を主因に前年を下回りました。公共投資は増加しており、6月の公共工事請負金額は市町村発注分の増加を主因に前年を上回っています。
設備投資は高水準で推移しており、6月短観(九州・沖縄地区)における2025年度の設備投資(除く電気・ガス)は前年を上回る計画となっている一方、5月の建築物着工床面積(民間非居住用)は前年を下回りました。輸出は弱めの動きとなっており、6月の輸出額(九州経済圏)は前年を下回っています。生産面では鉱工業生産が横ばい圏内の動きとなっており、業種別では自動車が下げ止まり、船舶が増加、電子部品・デバイスが高水準で推移しているものの一部に弱めの動き、汎用・生産用・業務用機械は持ち直しの動きが一服、化学が持ち直し、鉄鋼・非鉄金属が弱含み、食料品が振れを伴いつつも減少基調となっています。
雇用・所得情勢は改善しており、有効求人倍率は高水準で推移し、4月の雇用者所得総額は現金給与総額と常用労働者数の増加により前年を上回りました。物価面では6月の消費者物価(九州地方、生鮮食品を除く総合)が前年比+3.8%となっています。金融面では5月の預金残高が個人預金を中心に前年を上回り、貸出残高も法人向けや個人向けを中心に前年を上回っており、企業倒産は6月の件数・負債総額ともに前年を下回り横ばい圏内の動きとなっています。
記事は、九州・沖縄地域の景気が緩やかな回復基調にある一方、輸出の弱さや生産の横ばい推移など一部に弱めの動きが見られることを示しています。