ジェトロ世界貿易投資報告 2025年版 ~多国間主義に瓦解の兆しー試されるグローバルビジネスの耐性

ジェトロが公表した「世界貿易投資報告 2025年版」について、多国間主義の揺らぎとグローバルビジネスの耐性が試される現状を包括的に分析したものです。

報告書は3章構成となっており、第Ⅰ章「世界と日本の経済・貿易」では、第2次トランプ政権発足後の世界経済への影響を詳細に分析しています。2025年1月の政権発足以降、米国の追加関税措置を巡る不確実性が著しく増大し、IMFは2025年4月時点で世界経済成長率を2.8%と予測、わずか3カ月で0.5ポイントもの下方修正を余儀なくされました。ジェトロ・アジア経済研究所による経済地理シミュレーションモデル(IDE-GSM)を用いた分析では、米国の関税措置により米国自身のGDPが5.2%減、中国が1.9%減となる一方、日本は0.2%増と試算されています。

第Ⅱ章「世界と日本の直接投資」では、2024年の世界の対内直接投資額が前年比3.7%増の1兆5,088億ドルとなったことを報告しています。しかし、欧州の導管国向け投資を除けば実質的には11%減となっており、通商面での緊張や政策の不確実性、地政学的な分断が投資家の慎重姿勢を強めていることが明らかになっています。先進国・地域向けは8.8%増となった一方、新興・途上国・地域向けは0.2%増とほぼ横ばいで、新興・途上国向けが全体の57.5%を占め、5年連続で過半を維持しています。

第Ⅲ章「世界の通商ルール形成の動向」では、国際通商秩序が歴史的な転換期を迎えていることを詳述しています。経済産業省は「通商戦略2025」において、新自由主義の時代から保護主義が台頭する時代への変化を「国際経済秩序の歴史的な転換期」と位置づけ、格差拡大を背景とした保護主義の台頭、過剰供給・過剰依存による脅威の顕在化、グローバルサウスを巡る競争の激化など5つの潮流を指摘しています。貿易政策不確実性指数(TPU)は、日米両国で第2次トランプ政権発足後に急上昇し、米国では2025年4月に過去最高水準に達しました。

グローバル・トレード・アラートのデータによると、2024年に導入された貿易・投資を阻害する新たな政策介入は3,505件に上り、高止まりの傾向が続いています。スイスIMDのリチャード・ボールドウィン教授は、米国の関税政策が世界貿易の「ルールブック」を焼き払い、貿易システムをハッキングしたと指摘する一方で、米国を除いた形での「再グローバリゼーション」による国際通商秩序の復活という楽観的シナリオも提示しています。同氏は、世界貿易の85%を占める米国以外の国・地域が、日本、EU、中国などを中心に分散型のリーダーシップで自由貿易を主導できる可能性を示唆しています。

記事は、多国間主義に瓦解の兆しが見える中で、日本を含む各国が新たな通商秩序の構築に向けて積極的な役割を果たすことが求められており、グローバルビジネスの耐性と適応力が試される重要な局面にあると結論づけています。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。

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