南アフリカ共和国政府は8月24日、同国の電力供給が安定していると発表した。電力公社エスコムが持続的な技術改善を続けた結果、2025年度において電力需要の97%以上を供給している。予想外の発電停止は7,265メガワット(MW)となり、2020年12月11日以来初めて8,000MWを下回った。2025年5月15日以降、計画停電も発生しておらず、4月1日から8月21日までの期間の停電時間は26時間にとどまった。
南アフリカでは2022~2023年に電力不足が深刻化し、計画停電が頻発して日系企業にとっても大きな問題となっていた。しかし2024年には改善傾向が見られ、2025年も安定した供給が維持されている状況だ。さらなる安定性確保のため、8月25日夕方のピーク時とその後1週間を通して、合計4,850MWの発電を復旧させる計画も発表されている。
エネルギー移行に関しても進展が見られる。エスコムは8月19日、初の再生可能エネルギー取引プログラムの実施を発表した。これは競争力のある将来のエネルギー産業促進という戦略目標の一環で、2040年に向けて石炭火力発電からクリーンエネルギーへの移行を目指している。商業施設などの大規模電力ユーザーが長期電力購入契約(PPA)を通じて、エスコム所有の再生可能エネルギー施設から291MWの太陽光発電による電力を調達する計画だ。最も早いプロジェクトは2027年12月の商業運転開始を予定している。
一方で、電力自由化の遅れ、発電所等設備の老朽化、エスコム内の汚職、電線網の窃盗など様々な課題を抱えているのも現実である。2025年後半以降も安定した電力供給が維持されるかどうかが注目されている。南アフリカの2025年度は2025年4月1日から2026年3月31日までとなっている。