金融政策の動向 ケニア中央銀行の金融政策委員会(MPC)は8月12日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、9.50%とすることを決定した。これは2024年8月6日の引き下げ以来、7期連続の金融緩和措置となる。国内経済活動の低迷が継続していることが利下げの主要な背景となっている。
製造業の景況悪化 ケニアのスタンビック銀行が8月5日に発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は46.8となった。この数値は5月以来連続で前月比低下しており、いずれも景気判断の分岐点となる50を下回っている。同行エコノミストによると、6月の抗議デモがビジネスに負のインパクトをもたらし、民間セクターの生産と新規発注が減少したと分析している。さらに7月のガソリン価格引き上げによる価格上昇圧力や増税も経済活動に悪影響を与えている。
インフレ率の動向 ケニア国家統計局(KNBS)が7月31日に発表した2025年7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比4.1%となった。項目別では食品・飲料が6.8%、アルコール飲料・たばこが5.1%、交通が4.1%の上昇を記録した。2024年10月には2.7%まで低下していたCPI上昇率は、ケニア中央銀行の政策金利引き下げの影響もあり、以降は加速傾向にある。
政策判断の根拠 MPCは、エネルギー価格上昇によりCPI上昇率がやや加速傾向にあるものの、短期的には2.5~7.5%のターゲットレンジに収まっていることを評価した。一層の金融緩和により民間セクターの経済活動を支えるべく、継続的な利下げ政策を実施している。