イスラーム金融システムの発展
アジア経済研究所「中東レビュー Volume 1」第5章として刊行された研究報告。イスラーム法(シャリーア)に準拠した金融制度の発展過程と、現代金融システムにおける位置づけについて分析している。
シャリーア準拠金融の原理
利子禁止の原則: イスラーム教における利子(リバー)禁止の教義に基づく金融商品の開発。ムシャーラカ(共同出資)、ムダーラバ(信託投資)等の伝統的金融手法の現代的応用について詳述している。
リスク共有システム: 従来の債務・債権関係とは異なる、リスクと利益の共有を基本とする金融システムの特徴。投機的取引の禁止と実体経済への資金供給重視の理念を分析している。
国際金融市場での展開
マレーシア、湾岸諸国を中心とするイスラーム金融市場の拡大と、国際金融センターとしての地位確立。スクーク(イスラーム債券)市場の成長と機関投資家の参入動向について論述している。
制度的課題と展望
各国でのシャリーア審査体制の相違と標準化への取り組み。従来型金融機関との競合関係と協調可能性について考察を行っている。