米ウクライナ首脳会談への日本の評価と関与
令和7年8月19日、石破総理は米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が現地時間18日(日本時間19日未明)に実施した首脳会談について記者会見を行った。この会談にはイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、フィンランド、EU、NATOの首脳も参加した多国間会議も開催され、石破総理自身もウクライナに関する有志連合オンライン首脳会合に参加し、日本の立場を表明した。日本政府はこの動きに重大な関心を示しており、トランプ大統領の平和実現への積極的な取り組みを意義深いものと評価している。
早期停戦と公正な和平実現への複雑な課題
石破総理はウクライナ情勢について、早期の停戦実現と公正な和平達成という2つの困難な課題を同時に追求する必要性を強調した。毎日犠牲になっているウクライナとロシアの無辜の民の命を救うため早期停戦が急務である一方、公正な和平の実現は極めて困難で時間のかかる課題であると分析している。この2つの目標をどのように両立させるかが国際社会にとって最大の挑戦であり、外交的な解決策の模索が続いている状況である。
日本のウクライナ安全保障関与への慎重な検討
NATO事務総長が日本を含む約30カ国がウクライナの安全保障に関与を検討していると発言したことについて、石破総理は現在進行形で議論が進められている段階であることを確認した。日本政府として何ができるか、何をすべきかについて法制面や能力面を含めて慎重に検討中であり、現時点で具体的な関与の形を明示する段階には至っていないと表明した。これは憲法上の制約や国内世論を考慮した慎重なアプローチを反映している。
TICAD9を通じたアフリカとの戦略的連携強化
石破総理は翌日から3日間開催されるTICAD9(第9回アフリカ開発会議)について「革新的な課題解決策の共創」をテーマとした成果を目指すと発表した。アフリカは若い人口構成と豊富な資源を持つ地域として世界的な存在感が高まっており、日本の技術や知見を活かした相互利益となる解決策を共同で創出する方針である。人材育成を通じた自助努力の支援、質の高い経済成長の実現、人間の安全保障の確保を重点項目として開発協力を実施し、透明性と適正性を確保した支援を継続する考えを示した。アフリカ側のニーズを丁寧に把握し信頼関係を構築することで、グローバル・ガバナンスの強化に寄与する戦略的パートナーシップの発展を目指している。