日本産水産物の普及促進を目指した実践的教育プログラム
「タイ農林水産物・食品輸出支援プラットフォーム」(ジェトロ・バンコク事務所、在タイ日本大使館)は2025年7月30〜31日、ザ・フードスクール・バンコク(TFS)と連携し、「日本産食品の公開教育プログラム」の第1回として、日本産真鯛と日本産サーモンの下処理、保管方法、調理方法に関する講座「Extension Educational Program for Japanese Farmed Fish in Bangkok」を実施した。これは2024年度の「非ロイン系」日本産和牛のカッティング講座とレシピ開発講座に続く取り組みである。
専門講師による実践的な技術指導
本講座では、一般社団法人日本養殖魚類輸出推進協会の推薦により、井上幸司講師を日本から招聘し、日本産水産物の下処理などの取り扱いについて解説・実演を行った。講座はTFSにおいて対面で実施するとともに、リアルタイムでオンラインでも配信され、タイ地方部を含めたレストラン関係者、小売店から2日間で延べ100人を超える参加があった。対面で受講した生徒14人には修了証が授与された。
日本の養殖業の特徴と多国籍料理への応用
講座開催にあたって、日本養殖魚類輸出推進協会の小林良廣理事・事務局長より、「持続性」「多様性」「伝統と革新」の3つの観点から日本の養殖業の特徴について説明があった。30日のおろし方講座では、井上講師により日本産真鯛および日本産サーモン3種(ギンザケ・サーモントラウト・キングサーモンとニジマスの掛け合わせ)の特徴・魅力、部位の特性、品質・衛生管理を解説し、それぞれの特徴を生かしたおろし方を講義・実演した。
31日の料理講座では、前日に3枚おろしにした真鯛およびサーモン3種を用い、日本料理(吉田和弘シェフ)、タイ料理(ピヤパネー・チョムンガム シェフ)、イタリア料理(マルタ・コンフェンテ シェフ)の各シェフから魚種に適したメニューが提案され、各生徒による調理実習を行った。
タイ市場での日本産水産物拡大への期待
TFS教務部長のティップヌット・プンスントーン博士は「日本の水産物に込められた伝統や自然への敬意をあらためて感じる機会となった。学生たちにとっても教科書では得られない学びと感動に満ちた体験だった」と評価した。ジェトロ・バンコク事務所の森下卓哉次長は「今回の講座を通じて、日本産真鯛と日本産サーモンの良さが存分に引き出された。真鯛における新たな需要を創出できたのではないか」と述べ、タイ市場における今後の日本産養殖魚のポテンシャルへの期待を示した。