トルコからエジプトへの投資が急増する中で、トルコの物流会社がスエズ運河特別経済区に大規模投資を決定した案件について解説したものです。
投資案件の詳細
トルコの物流会社シグマ・ロジスティクスとロジ・トレードが2025年8月、スエズ運河特別経済区（SCZONE）への投資を決定しました。両社はエジプトのユナイテッド・エジ・グループと提携し、新たにシグマ・エジプト（SIGMA Egypt）を設立し、コンテナの保管、取り扱い、修理の保税ヤード2カ所を運営して海運会社にサービスを提供します。敷地面積は計10万平方メートルで、カンタラ・ウエスト地区に5万平方メートル、ソフナ地区に5万平方メートルが割り当てられ、総投資額は420万ドル、約100人の直接雇用創出が見込まれています。
戦略的意義と期待効果
SCZONEのワリド・ガマル・エルディン長官は本計画を同区における統合物流活動の強化に向けた重要な一歩と位置づけ、サプライチェーンコストの削減、コンテナ取扱効率の向上、新規雇用創出の実現を強調しています。また、SCZONEが世界を結ぶ主要物流プラットフォームになるというエジプトの国家戦略に沿った、サプライチェーン、製造、物流サービスのグローバルハブ化の強化にも寄与すると期待されています。
トルコ・エジプト間投資の急拡大
トルコ中央銀行データによれば、トルコからエジプトへの投資額は2022年の1,600万ドルから2023年に6,900万ドル、2024年に3,700万ドルと急増し、2025年は8月時点で既に3,200万ドルに達しています。この背景には、トルコ国内の生産コスト上昇があり、人件費が低く、トルコや欧州自由貿易連合（EFTA）とFTA、EUと連合協定を締結しているエジプトへの生産拠点移転が進んでいることが要因とされています。
投資の業界拡散
エジプトの特徴である綿花生産を活かした繊維・アパレル業界での投資が顕著ですが、白物家電、食品、皮革製品から建設に至るまで、さまざまな産業分野でトルコ企業の投資が拡大しており、両国間の経済連携が多岐にわたって深化していることが明らかになっています。
記事は、地政学的優位性を持つエジプトへのトルコ企業投資が戦略的な生産拠点移転として加速し、物流インフラ整備により両国の経済統合が一層進展することを示しています。