内閣府経済社会総合研究所が2025年7月23日に公表した生産側系列の四半期速報（生産QNA）について、その概要と2025年第1四半期の推計結果を解説したものです。
生産QNAは、年次推計でのみ公表される経済活動（産業）別付加価値額を四半期化し、速報期間の推計を行う取組です。「公的統計の整備に関する基本的な計画」に基づき、令和4年7月より参考系列として公表が開始されました。主要諸外国でも採用されているシングル・インディケーター方式（産出額の動きで付加価値額を直接推計）を改良した手法により推計を行っています。
推計方法の特徴として、四半期別GDP速報（2次速報値）の推計過程で得られる財貨・サービス別産出額を、年次推計で作成された経済活動別財貨・サービス産出表（V表）を用いて経済活動別産出額に転換し、関連するデフレーターで実質化した後、経済活動別財貨・サービス投入表（U表）で得られる付加価値率を乗じて実質付加価値額を推計します。また、四半期の投入構造の変化をより精緻に捉えるため、供給・使用表（SUT）の枠組みによるバランス手法を参考に一定の調整を行っています。
公表される系列は、農林水産業、鉱業、製造業（14業種）、電気・ガス・水道・廃棄物処理業、建設業、第三次産業（卸売・小売業、運輸・郵便業、宿泊・飲食サービス業、情報通信業、金融・保険業、不動産業、専門・科学技術、業務支援サービス業、公務、教育、保健衛生・社会事業、その他のサービス）の経済活動別に、産出額と付加価値額を名目・実質両系列で四半期ごとに表示しています。原則として四半期終了の4か月後以降（QEの2次速報公表の翌月以内）に公表されます。
記事は、生産QNAが経済活動別の生産動向を四半期ベースで把握できる新たな統計として、経済分析や政策立案に有用な情報を提供することを説明しています。