(論文)重要物資の供給制約と輸入調達構造の変化
概要
本稿は、ウクライナ産ネオンガスの供給停止と中国によるガリウム・ゲルマニウムの輸出管理を対象に、輸入国別の詳細な品目レベル貿易データを用いて、対象国への事前依存度による輸入調整の差を三重差分法とイベントスタディで推定した。ウクライナ事例では、事前依存度の高い国ほど既存の代替供給国間で輸入額を再配分し、供給国集中度が一時的に低下した。中国事例では、中国依存の低下や供給国構成の分散化を示す頑健な変化は確認されなかった。対比から、制約の発生形態と短期的な代替供給の可能性を考慮する必要性が示唆される。
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要点
- ウクライナ事例では、事前依存度の高い国ほど供給停止後に輸入額を再配分し、供給国集中度を一時的に低下させた。
- 中国事例では、中国依存の低下や供給国構成の分散化を示す頑健な変化は確認されなかった。
- 二事例の対比は、供給制約への対応に関する考慮事項を示唆する。
概要
本稿は、重要物資の供給制約に対する輸入調達構造の変化を検証する。対象は、ウクライナ産ネオンガスの供給停止と、中国によるガリウムおよびゲルマニウムの輸出管理である。
本稿は、東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局による第11回共催コンファレンス「供給制約経済への移行:その含意と課題」(2025年11月26日開催)の報告論文を改訂したものである。
影響
供給制約への対応を理解するうえで、制約の発生形態に加え、短期的な代替供給の可能性を考慮する必要性が示唆される。
詳細
分析には輸入国別の詳細な品目レベルの貿易データを用い、対象国への事前依存度による輸入調整の差を三重差分法とイベントスタディで推定した。JEL分類番号はF14、F13、F52。小橋文子(慶應義塾大学経済学部)は、指定討論者やコンファレンス参加者から受けたコメントに謝意を示し、残された誤りは筆者に帰すると記している。日本銀行は、論文中の内容や意見は同行の公式見解を示すものではないとしている。