ジェトロが公表した英国の貿易投資年報2025年版について、2024年の経済・貿易・投資動向とポストブレグジットの影響を包括的に分析したものです。
2024年の実質GDP成長率は1.1%となり、政府消費の3.0%増加が成長を下支えしました。インフレ率は9月までに1.7%まで低下し、イングランド銀行は2024年中に2回の利下げを実施し、2025年初頭には政策金利を4.25%まで引き下げています。貿易面では、輸出が5.1%減の4,011億ポンド、輸入が0.2%増の6,381億ポンドとなり、貿易赤字は2,370億ポンドに拡大しました。
投資動向では、対内直接投資が26億ポンドに減少した一方、対外直接投資は537億ポンドと大幅に増加しています。クロスボーダーM&Aでは、英国への投資が686件・251億6,000万ポンド、英国からの投資が324件・154億4,000万ポンドとなりました。注目すべき投資として、アマゾン・ウェブ・サービスがデータセンターに80億ポンドの投資を表明し、グリーンエネルギーやテクノロジー分野への大型投資が続いています。AI関連やスタートアップエコシステムへの投資も活発化しています。
政策面では、2024年12月にCPTPPに正式加盟し、新労働党政権はEUとの貿易関係再構築を模索しています。湾岸協力理事会、インド、その他地域との貿易交渉も検討されており、多角的な通商政策を展開しています。
記事は、英国経済がブレグジット後の構造調整を続ける中で、貿易面での課題を抱えながらも、投資や政策面では慎重な楽観論が見られると分析しています。