総務省は株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構（JICT）による米国でのCO2排出量管理・脱炭素支援クラウドサービス拡大支援事業の支援決定を認可し、日本のスタートアップ企業の国際競争力強化と気候変動対策技術の海外展開を戦略的に促進しています。この事業は、日本の気候変動関連技術スタートアップであるアスエネ株式会社と米国の気候変動関連技術企業NZero, Inc.との連携により、CO2排出量管理とエネルギー効率化を支援するクラウドサービスの米国市場での事業拡大を目指す重要な国際協力プロジェクトです。
JICTは、2015年11月に設立された政府系支援機関として、日本の情報通信技術（ICT）企業の海外展開を資金面・戦略面から包括的に支援し、我が国経済の持続的成長と国際競争力向上に寄与することを目的としています。今回の支援決定は、2050年カーボンニュートラル目標の達成に向けて、日本の優れた環境技術と脱炭素ソリューションを国際市場で展開する重要な戦略的取り組みとして位置づけられています。
アスエネ株式会社は、企業のエネルギー使用量削減とCO2排出量最適化を支援するエネルギーマネジメント技術において先進的な技術力を有し、NZero, Inc.との戦略的パートナーシップにより、同社の米国における既存顧客基盤を活用した迅速な市場参入と事業拡大が可能となります。この連携により、日本の技術力と米国の市場アクセス能力を組み合わせた、効果的な国際事業展開モデルの構築が実現されます。
脱炭素クラウドサービス市場は、企業のESG経営強化、サプライチェーン全体での脱炭素化要求の高まり、炭素税制度の拡大等により急速に成長しており、米国市場だけでも数兆円規模の市場拡大が予想されています。特に、SCOPE1・2・3排出量の正確な測定・管理、カーボンオフセット取引支援、再生可能エネルギー導入最適化、エネルギー効率改善提案等の包括的サービス需要が拡大しています。
国際的な気候変動対策では、パリ協定に基づくNDC（国が決定する貢献）の達成、カーボンプライシング制度の国際協調、気候変動適応策の技術移転等において、日本の先進技術と知見の国際展開が重要な役割を果たしています。この事業を通じて、日本の脱炭素技術の国際標準化推進、グローバル市場でのプレゼンス向上、気候変動分野での国際協力強化が期待されます。
スタートアップ支援の観点では、日本の革新的な環境技術企業が国際市場で競争し成長するための資金調達、技術開発、市場開拓、人材確保等の総合的支援体制構築が重要です。JICTの支援により、日本のクリーンテック・スタートアップが海外市場で事業基盤を確立し、持続的な成長を実現することで、日本の産業競争力強化とイノベーション・エコシステムの発展に寄与することが期待されます。
この事業は、日本の「グリーン成長戦略」「2050年カーボンニュートラル」「GX（グリーン・トランスフォーメーション）実現」等の国家戦略と密接に連携し、民間企業の技術革新と海外展開を通じた脱炭素社会実現と経済成長の両立を目指す重要な政策ツールとしての役割を果たしています。