総務省は電波監理審議会第1146回会議を開催し、令和7年電波法・放送法改正に伴う制度整備に関する省令案の諮問審議と、電波の有効利用状況評価を実施して、日本の電波行政の最適化と情報通信政策の戦略的推進を図っています。この審議会は、5G・6G移動通信システムの本格展開、IoT・AI技術の普及拡大、サイバーセキュリティ強化等に対応した電波利用制度の現代化を目的とした重要な政策決定機関として機能しています。
今回の主要審議事項である電波法施行規則等改正省令案(諮問第23号)と放送法施行規則改正省令案(諮問第24号)は、デジタル変革時代における電波利用の効率化、放送サービスの多様化、情報セキュリティの強化を実現するための法制度基盤整備を目指しています。特に、電波利用料制度の見直し、無線設備の技術基準適合性確保、混信対策強化、国際標準との整合性確保等により、限りある電波資源の最適配分と利用効率向上を図っています。
NHK令和6年度決算概要の報告では、公共放送の持続可能性確保、受信料制度の適正運用、国民理解の向上等が重要課題として位置づけられています。特に、インターネット同時配信サービス「NHKプラス」の利用拡大、4K・8K放送の普及促進、災害報道・国際放送の機能強化等を通じた公共放送価値の向上と、経営効率化による国民負担軽減の両立が求められています。
電波有効利用評価においては、714MHz以下の周波数帯各種無線システムと公共業務用無線局の利用状況が詳細に分析され、周波数再編、技術革新対応、国際協調等の観点から改善提言が行われています。この評価は、携帯電話システム、防災行政無線、放送局、航空・海上通信、アマチュア無線等の多様な無線利用者間での周波数共用最適化と、新技術導入促進のための政策指針策定に重要な役割を果たしています。
Beyond 5G(6G)技術開発においては、超高速・超低遅延・多数接続の実現に向けた周波数資源確保、国際標準化活動への積極参画、産学官連携による技術革新促進が重点政策として推進されています。また、量子通信、衛星通信、海底ケーブル等の次世代通信インフラ整備により、日本の情報通信分野の国際競争力強化と経済安全保障確保を図っています。
サイバーセキュリティ強化では、無線設備のセキュリティ基準策定、IoT機器の脆弱性対策、重要インフラ防護、国際連携によるサイバー脅威対処等により、デジタル社会の安全・安心確保を推進しています。デジタル田園都市構想の実現に向けては、地方における5G基地局整備、光ファイバ網拡充、デジタル格差解消、地域情報化支援等により、全国どこでも快適にデジタルサービスを利用できる環境整備を進めています。
国際協力・標準化では、ITU(国際電気通信連合)、3GPP等での技術標準策定への積極関与、アジア太平洋地域での電波利用調整、開発途上国への技術協力等により、日本の電波行政ノウハウと技術力の国際展開を図っています。この電波監理審議会の審議結果は、日本の情報通信政策の方向性を決定する重要な政策決定プロセスであり、デジタル社会実現とSociety 5.0推進の基盤整備において極めて重要な意義を有しています。