対内直接投資の記録更新
メキシコ経済省外国投資局(DGIE)が8月21日に発表した統計によると、2025年上半期(1~6月)の対内直接投資額(国際収支ベース、フロー)は342億6,500万ドルとなり、前年同期比10.2%増を記録した。これは上半期としては過去最高額の更新となる。
投資構成と新規投資の急拡大
投資額の構成比は以下の通り:
- 利益再投資: 84.4%(289億3,000万ドル)
- 新規投資: 9.2%(31億4,900万ドル、前年同期比3.5倍)
- 親子間勘定: 6.4%(21億9,600万ドル)
特に新規投資の3.5倍という大幅な伸びが、全体の成長を牽引した。
国・地域別投資動向
主要投資国ランキング:
- 米国: 147億300万ドル(構成比42.9%)- 最大投資国
- スペイン: 17.3%(約59億ドル)- 前年の償還超過から大幅回復
- カナダ: 5.1%(約17億ドル)
- 日本: 14億4,400万ドル(構成比4.2%、前年同期比53.1%減)
スペインは好調が続いており、7月にはコックス・エナジーがイベルドローラのメキシコ拠点を42億ドルで買収し、2025~2030年に107億ドルの投資を発表している。
産業別・地域別投資パターン
産業別投資状況:
- 製造業: 投資額の36.0%を占めるが、前年同期比25.9%減と不調
- 輸送機器製造: 米国追加関税の影響で前年同期比36.1%減
- 金融・保険: 投資額の26.7%、前年比90.8%増の好調
地域別投資分布:
- メキシコ市: 全体の56.4%(前年同期比36.1%増)
- ヌエボレオン州: 製造業集積地域で前年同期比31.6%増
- バハカリフォルニア州: 同12.9%減
- グアナファト州: 日本企業進出地域で同35.6%減
政府・政治的評価
DGIEは「世界的な政治・経済状況の中、外国投資家が引き続きメキシコへの関心を持っていることがあらためて示された」とコメント。クラウディア・シェインバウム大統領は8月21日の会見で「(米国による追加)関税もメキシコ経済を止められなかった」と述べ、投資先としてのメキシコの魅力を強調した。