2015-2018年度 日本の法人税改革の効果に関する実証分析

2015-2018年度に段階的に実施された日本の法人税改革(成長志向の法人税改革)の効果を、国税庁の法人税申告データを用いて実証分析した研究。法人所得税率引下げ、繰越欠損金控除縮小、付加価値・資本の重課が成長企業の税負担に与えた影響を検証。

【改革の内容と目的】 ・法人所得税率の引下げ ・繰越欠損金控除の縮小 ・外形標準課税(付加価値・資本の重課)の拡大 ・租税特別措置の見直し ・税収中立を前提とした課税ベース拡大

【分析手法】 実効税率(ETR)を以下の構成要因に分解して分析: ・特別控除前法人所得税/所得 ・特別控除/所得(投資減税、R&D減税、賃上げ税制等) ・外形標準課税/税引前利益 ・所得/税引前利益(課税ベース)

【主要な分析結果】

  1. 大企業のETR(平均)は改革後上昇(2020年度は例外的に低下)
  2. 税率引下げの効果よりも課税ベース拡大の効果が上回った
  3. 特別控除の利用が困難になり、マイナス要因が縮小
  4. 高成長企業のETRは2015-2017年度でわずかに低下したが、2018年度以降は平均と同様の推移

【政策的含意】 ・改革は成長企業をターゲットとした税負担軽減として設計されていなかった ・税率引下げは成長企業以外にも減税効果をもたらした ・租税特別措置は成長性の高い企業への優遇措置に変更されなかった ・外形標準課税の拡大は長期的に成長企業の税負担軽減に寄与しなかった

【今後の課題】 長期的に成長企業を優遇する観点から、租税特別措置による適切なターゲットの絞り込みが必要。成長企業の税負担軽減を通じたマクロ経済成長への寄与を目指すには、より戦略的な制度設計が求められる。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。