ジェトロが発行したスリランカの貿易投資年報について解説したものです。2024年のスリランカ経済は深刻な経済危機から回復の兆しを見せており、包括的な経済分析を提供しています。
経済回復の主要指標 2024年のスリランカは実質GDP成長率5.0%を記録し、経済危機からの着実な回復を示しました。インフレ率は1.6%まで低下し、外貨準備高は60億4,800万ドルまで回復しています。最大の外貨獲得源である郷里送金額は65億7,540万ドルに達し、経済安定化に重要な役割を果たしています。
貿易収支の動向 輸出は127億7,200万ドル（前年比7.2%増）と増加基調を示した一方で、輸入も188億4,100万ドル（同12.1%増）と大幅に増加しました。この結果、貿易赤字は60億6,900万ドルに拡大し、経済回復に伴う内需回復と輸入増加の構造が明確になっています。
対内直接投資の状況 対内直接投資額は6億1,400万ドル（前年比17.5%減）と減少しましたが、フランス、インド、オランダからの投資が主要な投資源となっています。政治的安定性の回復とともに、今後の投資環境改善が期待されています。
政治・経済展望 ディサーナーヤカ大統領の就任により、汚職撲滅とガバナンス強化が推進されています。IMFの金融支援プログラムを継続しており、2025年のGDP成長率は3.0-3.9%と予測されています。経済は回復基調にある一方で、国民生活の改善と持続的成長が重要な課題として残っています。
記事は、スリランカ経済が危機からの回復期にあり、マクロ経済指標の改善と政治的安定化が進む中で、持続可能な成長軌道への移行が課題となっていることを示しています。