JETROがテキサス州におけるグレッグ・アボット知事による食品添加物規制法案(SB25)署名と、全米に広がる食品安全規制強化の動向について解説したものです。
テキサス州の新規制概要 2025年6月22日に成立したSB25により、44種類の染料添加物や合成着色料を使用する食品に対し、2027年1月1日から警告ラベル表示が義務化されます。対象はEU、オーストラリア、カナダ、英国のいずれかで安全性に疑いがもたれ制約が課せられている成分で、「警告:この製品には、オーストラリア、カナダ、EU、英国の関係当局により人的消費が勧められない成分が含まれている」との表示が必要になります。違反した場合、製品ごとに1日最大5万ドルの罰金が科せられます。
MAHA運動との連動 この規制はロバート・ケネディ・ジュニア保健福祉(HHS)長官が率いる「米国を再び健康に(MAHA)」運動に連動しています。2025年2月13日のMAHA委員会設立、5月22日の「われわれの子供を再び健康に」評価報告書発表、4月22日のHHS・FDA による「石油原料合成着色料の段階的廃止方針」発表など、連邦レベルでの規制強化が進んでいます。
全米への拡大傾向 ハーバード大学によると、2025年に35州で93の食品添加物関連法案が提出され、6月24日までに9法案が成立しています。成立州はテキサス、アリゾナ、デラウェア、テネシー、ユタ、バージニア、ウエストバージニアで、デラウェアと激戦州バージニアを除いて共和党優勢州(レッドステート)が中心です。ルイジアナ州でも6月27日にMAHA法案(SB14)が成立し、学校給食での人工食品染料・保存料使用禁止が決定されました。
企業への影響と対応策 全米2位の経済規模を持つテキサス州市場への対応として、食品製造業者は①使用成分の特定調査、②代替成分の検討・試験、③サプライチェーン事業者との協力、④警告ラベルのデザイン検討などが必要になります。テキサス州厚生委員会が2025年12月31日までに具体的規則を確定するため、要望書提出や公聴会参加による当局への働きかけも有効とされています。
記事は、従来民主党州中心だった食品添加物規制が、トランプ政権2期目のMAHA運動により共和党州にも拡大し、全米規模での食品安全規制強化が新たな段階に入ったことを示しています。