ジェトロが公表したオーストラリアの貿易投資年報2025年版について、2024年の経済・貿易・投資動向を包括的に分析したものです。
2024年の実質GDP成長率は1.0%に減速しましたが、政府支出と公共投資が経済成長を下支えしました。インフレは段階的に低下したものの、コアインフレは依然として目標範囲を上回っており、失業率は3.9-4.2%の低水準を維持しています。貿易面では、輸出が7.5%減少の5,170億豪ドル、輸入が3.9%増加の4,300億豪ドルとなり、貿易黒字は871億豪ドルに縮小しました。
主要輸出品目では鉄鉱石が8.6%減、石炭が17.5%減、天然ガスが9.2%減と資源価格の軟化が響きました。中国は最大の輸出先国の地位を維持しましたが、対中輸出は12.3%減少しています。一方、対内直接投資は前年比76%増の810億豪ドルと大幅に増加し、日本が182億豪ドルの投資で最大の投資国となりました。製造業への投資は7.8倍に急拡大し、エネルギー、金融サービス、不動産分野が主要な投資先となっています。
高い労働コストや労働生産性の鈍化、世界経済の不確実性などの課題が指摘される中、OECDは2025年のGDP成長率を1.9%と予測しており、緩やかな経済成長の継続が見込まれています。
記事は、オーストラリア経済が資源価格の軟化による輸出減少の一方で、日本を中心とした海外投資の拡大により新たな成長動力を得ていると分析しています。