スウェーデンの2025年第2四半期経済統計と経済政策について解説したものです。
GDP成長の回復と主要要因
スウェーデン統計局（SCB）が2025年8月29日に発表したGDP統計によると、2025年第2四半期の実質GDP成長率（季節調整済み）は前期比0.5％となり、マイナス0.2％だった第1四半期から回復しました。成長を押し上げた要因として、固定資本形成が前期比1.7％増、輸出が0.7％増、家計消費が0.4％増となった一方、財・サービスの輸入がそれぞれ2.4％増、4.4％増となり成長を抑制しました。
政府による経済見通しと回復シナリオ
エリザベト・スバンテッソン財務相は8月20日、2025年上半期の同国経済は米国政府による世界各国・地域への関税措置発表の影響で減速したが、秋以降は回復に向かうとの見通しを示しました。下半期以降は実質賃金の上昇、金利負担の軽減、財政政策の効果により家計消費が持ち直すと期待される一方、主要貿易相手国の経済成長鈍化がスウェーデン輸出の下押し要因となる懸念も残ると述べています。
インフレ率の高水準継続と金融政策
金利変動の影響を除いた消費者物価指数（CPIF）上昇率は6月の2.8％から7月は3.0％へ上昇し、主にパッケージ旅行やレンタカー、食品の値上げが要因となりました。スウェーデン国立銀行は8月19日の金融政策会合で政策金利（2.0％）を据え置き、「夏季のインフレ率は予想を上回ったが、一時的な要因によるものと評価し、経済活動は依然弱い状況にある」との判断を示し、2025年内の追加利下げの可能性を残しています。
高い失業率への対策強化
2025年第2四半期の失業率（季節調整済み）は8.7％の高水準となっており、政府は就職機会の強化のため失業保険制度の改革、労働税の引き下げ、職業教育機関の定員拡充などを相次いで打ち出しています。失業保険制度改革では給付上限額を引き上げつつ減額ペースを速めることで、失業直後の生活を支えながら早期復職を促す狙いがあり、2025年10月1日の施行予定を8月4日から前倒しで開始しています。
記事は、スウェーデン経済がGDP成長で回復の兆しを見せる一方、インフレ率と失業率の高止まりという複合的課題に直面し、金融・財政政策の慎重な舵取りが求められている状況を示しています。