中央アジア・カスピ海地域の3カ国が物流相互接続強化について合意した国際会談について解説したものです。
3者首脳会談の実施と合意内容
2025年8月22日、トルクメニスタンのアワザ国立観光地区で、トルクメニスタンのグルバングル・ベルディムハメドフ人民評議会議長(前大統領)、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領による3者首脳会談が開催されました。3カ国の首脳は各国間の物流の相互接続を強化することで合意に達し、共同声明を採択して3カ国間での複合一貫輸送(トラック、鉄道、船舶など複数の輸送手段を組み合わせた貨物運送)の活性化意向を表明しました。
具体的な開発提案と取り組み
ミルジヨエフ大統領は、カスピ海沿岸のトルクメンバシ(トルクメニスタン)とバクー(アゼルバイジャン)の港湾処理能力拡大とインフラ近代化、輸送費の調整、手続きのデジタル化などの検討を提案しました。ルート開発促進のため、ウズベキスタンは貨物輸送料金の引き下げ準備があり、両国にも同様の対応を期待する意向を示しています。また、トルクメンバシ~バクー間航路の貨物輸送量増加による30~40日間の輸送渋滞解消のため、ウズベキスタンは自国船舶をカスピ海で運航する計画を明らかにしました。
造船協力と協定締結
これらの船舶は、トルクメニスタンとアゼルバイジャンの造船所で生産される予定で、首脳会議終了後にトルクメニスタン海運・河川運輸局とウズベキスタン運輸省が造船分野における協力発展に関する覚書を署名しました。さらに、トルクメニスタンとウズベキスタン、アゼルバイジャンとの間でそれぞれ運輸・物流、民間航空などの分野で協力文書が署名されています。
ウズベキスタンの積極的輸送ルート開発
本輸送回廊開発のほかにも、ウズベキスタンは「中国・キルギス・ウズベキスタン」鉄道の全線にわたる本格的建設を2025年6月30日に開始し、7月にはアフガニスタンとパキスタンの間でアフガニスタン横断鉄道に関する覚書が締結されるなど、複数方向での輸送インフラ整備を積極的に推進しています。
記事は、中央アジア・カスピ海地域の物流ハブ化を目指す戦略的協力により、ユーラシア大陸横断の新たな物流ルートが形成され、域内経済統合が加速することを示しています。