本レポートは、JETROが発行するベトナムの貿易投資年報2025年版について、ベトナムの最新の経済動向と日本企業にとってのビジネス機会を包括的に分析している。
ベトナム経済は、製造業を中心とした輸出主導型の成長を続けており、2024年のGDP成長率は約6.5%を記録した。特に電子機器、繊維、農水産物の輸出が好調で、米中貿易摩擦を背景とした生産拠点の移転先としても注目を集めている。外国直接投資(FDI)は引き続き増加傾向にあり、日本は最大の投資国の一つとしての地位を維持している。
貿易面では、ベトナムは複数の自由貿易協定(FTA)を活用し、輸出市場の多様化を進めている。特にCPTPPやRCEPなどのメガFTAへの参加により、関税削減のメリットを享受している。日本との二国間貿易も堅調に推移しており、ベトナムは日本にとって重要なサプライチェーンの一部となっている。
投資環境については、インフラ整備の進展、若い労働力の豊富さ、政治的安定性などが評価されている。一方で、行政手続きの複雑さ、熟練労働者の不足、環境規制の強化などの課題も指摘されている。今後は、デジタル経済の発展、グリーン投資の拡大、高付加価値産業への転換が重要なテーマとなることが予想されている。