本レポートは、JETROが発行する香港の貿易投資年報2025年版について、香港の経済状況と日本企業のビジネス展開における重要ポイントを分析している。
香港は、中国本土へのゲートウェイとしての役割を維持しながら、国際金融センターとしての地位を保っている。2024年の経済成長は緩やかな回復を示し、特に金融サービス、貿易、観光セクターが牽引役となった。大湾区（グレーターベイエリア）構想の進展により、香港と中国本土の経済統合が一層深化している。
貿易面では、香港は依然として重要な中継貿易拠点であり、特に中国本土向けの再輸出が大きな割合を占めている。自由貿易港としての地位を活かし、関税ゼロ、規制の少なさなどのメリットを提供している。日本との貿易関係も安定しており、特に電子部品、機械類、化学製品などの取引が活発である。
投資環境については、法制度の透明性、知的財産権の保護、資本移動の自由などが引き続き評価されている。一方で、地政学的リスクの高まり、人材流出の懸念、オフィス賃料の高さなどの課題も存在する。今後は、イノベーション・テクノロジーセンターとしての発展、グリーンファイナンスの拡大、デジタル人民元の試験運用などが注目されている。香港は変化の中にありながらも、アジアにおけるビジネスハブとしての重要性を維持している。