独加首脳会談と重要鉱物協力
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相とカナダのマーク・カーニー首相は2025年8月26日、ベルリンで会談し「重要鉱物に関する協力の意向表明書」に署名。サプライチェーンの強靭化と安定供給、脱中国依存を目指す戦略的協力を開始した。
対象鉱物と協力範囲
重要鉱物7種:
- リチウム、レアアース、銅、タングステン、ガリウム、ゲルマニウム、ニッケル
協力分野:
- 採掘から中間加工・精錬・リサイクルまでバリューチェーン全体
- CO2排出量削減と循環型経済（サーキュラーエコノミー）技術開発
- ESG基準順守とEU重要原材料法（CRMA）準拠
資金調達: 両国の公共投資・民間投資を活用 管理体制: 両政府設置のタスクフォースが進捗管理
具体的企業間連携
成立済み協力案件:
- アウルビス（独銅大手）×トロイラス（加鉱業）：銅供給契約締結
- バクームシュメルツェ（独）×トーンガト・メタルス（加）：協業意向表明
- エネルトラーク（独）×ロック・テック・リチウム（加）：協業意向表明
脱中国依存の背景と必要性
中国依存の現状:
- レアアース採掘：80％以上が中国
- 加工分野でも中国が重要な地位確立
- 供給の偏りによるリスク増大
政府対応策:
- 2025年8月5日「永久磁石に関するレジリエンス・ロードマップ」公表
- 風力発電設備用永久磁石供給の安定性向上（欧州全体）
産業競争力強化の意義
カテリナ・ライヒェ連邦経済・エネルギー相は産業競争力向上の観点から協力の重要性を強調し、今後の拡大方針を表明。ドイツ商工会議所連合会（DIHK）もカナダを重要パートナーと評価し、さらなる協業先開拓とネットワーク強化を求めている。
地政学的影響と展望
欧州・北米間の資源協力強化により、グローバルサプライチェーンの多極化が加速。中国依存からの脱却を目指す戦略的な資源外交の具体例として、他国間でも同様の連携拡大が予想される。