日本銀行盛岡事務所が2025年6月に公表した岩手県の金融経済概況について報告している。
岩手県内経済は一部に弱めの動きもみられるが、全体として持ち直している。個人消費については、サービス消費を中心に緩やかに回復しており、飲食業や娯楽業での改善がみられる。小売業の売上も底堅く推移している。
生産活動では、食料品製造業や輸送用機械工業が堅調に推移している一方、電子部品・デバイス工業では調整局面が続いている。農業については、天候に恵まれ作柄は概ね順調で、特に米や野菜類の品質が良好である。
設備投資は製造業を中心に持ち直しの動きがみられ、特に合理化投資や環境対応投資が増加している。雇用情勢は改善傾向にあり、有効求人倍率は高水準を維持しているが、建設業や介護業では人手不足が深刻化している。
公共投資は、震災復興関連事業の進捗により高水準で推移している。住宅投資については、住宅ローン金利の上昇により一部で慎重な動きもみられる。
金融面では、設備資金や運転資金を中心に資金需要は底堅く、金融機関の貸出姿勢は積極的である。物価は、エネルギー価格の安定化により上昇圧力は和らいでいるが、人件費上昇を背景にサービス価格は緩やかに上昇している。先行きも持ち直しの動きが続くと予想される。