日本銀行長崎支店が2025年7月に公表した長崎県の金融経済概況について報告している。
長崎県の景気は緩やかに回復している。個人消費については、サービス消費を中心に持ち直しの動きがみられ、特に観光関連サービスや外食産業で改善がみられる。小売業の売上も底堅く推移しており、消費者の節約志向は和らいでいる。
生産活動では、造船業が受注残を背景に高水準の操業を続けているほか、食料品製造業も堅調に推移している。一方、電子部品・デバイス工業では一部で調整の動きがみられる。農業については、天候に恵まれ野菜類や果実類の生産が順調である。
設備投資は、造船業や観光業を中心に増加傾向にあり、特に生産性向上や環境対応に向けた投資が活発化している。雇用情勢は改善傾向にあり、有効求人倍率は上昇しているが、建設業や介護業では人手不足が深刻化している。
観光業については、クルーズ船の寄港回復やインバウンド需要の増加により、宿泊業や土産物販売業で大幅な改善がみられる。県内の主要観光地では外国人観光客の姿も戻りつつある。
金融面では、設備資金や運転資金を中心に資金需要は堅調に推移している。物価は、エネルギー価格の安定化により上昇圧力は和らいでいるが、人件費上昇を背景にサービス価格は緩やかに上昇している。先行きも観光業の好調や造船業の堅調により、回復傾向が続くと予想される。