ジェトロが発表したトルコの2025年版貿易投資年報について、最新の経済動向と貿易・投資の詳細データを解説したものです。
2024年のトルコ経済は、GDP成長率が3.2%となり、前年の5.1%から減速しました。インフレ率は44.4%と依然高水準ながら、前年の64.8%から大幅に改善しています。失業率は8.7%、一人当たりGDPは15,463ドルとなっています。新財務相による金融引き締め政策が継続され、インフレ抑制に向けた取り組みが進められています。
貿易面では、輸出が2,618億ドル(前年比2.4%増)、輸入が3,440億ドル(同5.0%減)となり、貿易赤字は822億ドルまで22.7%縮小しました。輸出の主要品目は自動車・部品(輸出全体の12.4%、前年比5.2%増)、一般機械、鉱物燃料、電気機器となっています。輸出先ではEU向けが全体の41.4%を占め、前年比4.0%増加しました。米国向けは9.9%増、英国向けは22.7%増と大幅に拡大しています。
外国直接投資については、対内直接投資が66.9億ドル(前年比14.1%増)、対外直接投資が65.9億ドル(同16.2%増)となりました。主要投資国はオランダ、ドイツ、米国で、技術分野や戦略的投資への関心が高まっています。政府は貿易協定の拡大や投資環境の改善に向けた取り組みを継続しており、欧州市場との統合深化を目指しています。
記事は、トルコ経済がインフレ抑制と構造改革を進めながら、貿易赤字の縮小と外国投資の増加という好転の兆しを見せており、中東と欧州を結ぶ戦略的立地を活かした経済発展の可能性を示唆しています。