【新首相任命の背景】 エマニュエル・マクロン大統領は9月9日、セバスチャン・ルコルニュ氏(39歳)を新たな首相に任命した。これは前日に国民議会で信任案が否決され、フランソワ・バイルー前首相が辞任したことを受けたもの。
【ルコルニュ新首相の経歴と評価】 政治的経歴では、大統領の支持政党「ルネッサンス」に所属し、マクロン政権で軍事相などを歴任。マクロン大統領の側近として知られている。
実績評価では、2023年に防衛費の大幅な増額を含む軍事予算案を議会で成立させた実績を持つ。分裂した議会内で合意形成を実現した手腕が高く評価されている。
【新首相への指示と政策方針】 マクロン大統領は2026年度予算案など重要政策の合意形成に向けて、ルコルニュ首相に各政党との協議を指示。協議結果を踏まえ、ルコルニュ氏は新内閣の人事を大統領に提案する見通し。
行動指針として、大統領は首相に対し「国家の独立と強さの維持」「国民への奉仕」「政治・制度面での安定」を掲げた。
【野党からの強い反発】 極右「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン氏がX(旧Twitter)で「マクロン大統領はマクロン主義の最後の一手を打った」と批判。「総選挙は不可避で、その暁にはRN党首のジョルダン・バルデラが首相になるだろう」と政権交代の可能性を示唆した。
穏健左派「社会党」のオリビエ・フォール書記長は「マクロン大統領が進める政治路線には一切関与しない」と明言し、新政権への参加を正式に拒否。「政府の対応次第では不信任案を提出し、議会の解散に向かう可能性がある」と対抗姿勢を鮮明にした。