TICAD9開催とナカラ回廊開発発表
第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が2025年8月20~22日に横浜市で開催され、アフリカから33人の首脳級を含む49カ国の代表、国際機関の代表などが参加した。
TICAD9の機会に、**石破茂首相は8月20日、モザンビーク、マラウイ、ザンビアに対する広域協力「ナカラ回廊開発によるグローバル・サプライチェーンの強靭化」**の立ち上げを発表した。
ナカラ回廊の戦略的位置
地理的重要性: ナカラ回廊はアフリカ南東部に位置し、内陸国のザンビア、マラウイからモザンビークのナカラ港を経てインド洋とつながる国際回廊である。
日本の貢献: 日本の円借款によりナカラ港整備事業も実施し、2023年に完工した。この取り組みは石破首相が同日に発表した「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」とも関連している。
協力の目的と内容
主要目標:
- 輸送インフラ整備・強化
- 鉱業や農業など産業振興
- 域内の連結性強化
- 鉱物資源などの輸送ルートとしての価値向上
- 日本の各種資源のグローバル・サプライチェーン強靱化
地域の資源ポテンシャル
ザンビアの鉱物資源: 銅、コバルト、ニッケルが産出される
モザンビークのエネルギー資源: 天然ガス田が発見されている
治安課題への対応: モザンビークのカーボデルガード州では、アフリカ最大規模の液化天然ガス(LNG)開発中に治安が悪化していた。日本の外務省は8月22日、**「サプライチェーン強靱化のためのカーボデルガード州安定化」**協力を発表し、モザンビーク政府の治安維持能力向上と現地の復興を支援することで、日本企業や公的機関が関与するLNG事業の早期再開と安定操業に貢献することを表明した。
TICAD Business Expo & Conference(TBEC)
ジェトロは8月20~22日に横浜で「TICAD Business Expo & Conference(TBEC)」を開催し、日本企業194社・団体が出展、日・アフリカから実人数で約1万人が参加した。アフリカ展開に取り組む企業が出展したほか、会場内で実施されたステージイベントにおいて、インフラ・物流や鉱物資源関連イベントも開催された。