【2025年上半期の欧州風力発電新設状況】 欧州風力協会が9月2日に発表した調査によると、2025年上半期の欧州域全体での新設風力発電所による発電量は6.8ギガワット（GW）に達した。この中でドイツが最大の2.2GWの新規発電容量を占め、主導的な役割を果たしている。新規風力タービンの発注量は前年同期比約19％増となり堅調な伸びを示している。
【投資状況と2030年目標への課題】 2025年上半期の風力発電所新設への最終投資決定額は340億ユーロに達し、2024年通年の投資額（326億ユーロ）を既に上回った。しかし、EUが掲げる2030年までに再生可能エネルギー比率を42.5％に引き上げる目標達成には、現在236GWの風力総発電量を425GWまで増やす必要がある。
【許認可手続きの課題と各国の対応】 2030年までの新設予定風力発電所による総発電量は344GW程度と見込まれており、目標との乖離が存在する。再生可能エネルギー指令改正法（REDIII）の国内法化は2025年5月21日が期限だったが、多くのEU諸国で法整備の遅れが目立っている。
【ドイツの成功要因と政策効果】 ドイツは2025年7月11日にREDIIIの国内法化を完了し、前ショルツ政権の「イースター・パッケージ」により再エネ発電プロジェクトの許認可簡素化を推進してきた。ドイツ連邦風力発電協会は、EU指令の着実な政策実施、許認可手続き簡素化、政府による用地指定、業界の強力な存在がドイツの成功を支えていると分析している。