ケニア対内直接投資調査2024年版の結果
ケニアの投資庁、国家統計局、中央銀行が2025年8月24日に発表した「2024年度版外国投資調査報告」によると、2023年の対内直接投資残高は1兆4,575億シリング（約1兆3,118億円）で前年比8.5％増となった。調査は1,112社を対象に実施し、751社が回答、うち603社が外国資本を受け入れている。
国別投資残高と成長率
投資残高上位国：
- 英国：3,415億シリング（最大投資国）
- 南アフリカ：1,392億シリング
- モーリシャス：1,326億シリング
- オランダ：1,272億シリング
- 米国：1,261億シリング
高成長率国：中国が前年比39.2％増で最高成長、続いて英国23.0％増、UAE19.2％増。日本は123億シリングで0.2％増にとどまったが、多くの日本投資は英国やモーリシャス経由で行われるため実際の影響は過小評価されている可能性がある。
業種別投資動向と投資環境評価
業種別投資残高：金融・保険（4,097億シリング）が最大、製造業（2,162億シリング）、情報通信（1,866億シリング）、卸・小売業（1,698億シリング）が続く。フロー投資では情報通信、卸・小売業、金融・保険への積極投資が目立つ。
投資理由：回答者の22.9％が「熟練労働者の存在」、17.1％が「市場アクセス」と「ビジネスのしやすさ」を評価。一方「政治的安定性」は5.7％と低評価。
ビジネス環境の課題
コスト面の懸念：回答者の7割以上が電力コストの高さを指摘。金融サービス、就労許可、ビジネス許可等のコストも半数以上が高いと評価。2024年の就労許可料金大幅引き上げにより、外国人雇用数は4,003人から3,502人へ501人減少。
将来投資計画：39.5％が「再投資・拡大」、30.3％が現状維持、25.0％が多角化、5.3％が「閉鎖・縮小・撤退」を予定。税制への懸念が56％、汚職への懸念が50％に達している。