テマセクの大規模組織再編
シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスが2025年8月28日、投資ポートフォリオに応じた事業の3分割を発表した。新体制は2026年4月1日に発足予定で、地政学的緊張など事業環境の変化に対応し、成長と収益向上を目指す組織構造の最適化を図る。
3つの新子会社の役割分担
テマセク・グローバル・インベストメンツ(TGI): 主に外国企業への直接投資を担当。オランダの決済会社アディエン、オーストラリアの資産運用会社ベーターシェアーズ、中国大手IT会社テンセント等への投資を管理。
テマセク・シンガポール(TSG): 国内企業の持ち株会社として機能。不動産会社キャピタランド、国内最大手銀行のDBS、シンガポール航空等の株式を管理し、長期安定収益の確保を担う。
テマセク・パートナーシップ・ソリューションズ(TPS): ファンドや資産運用会社への投資に特化し、間接投資ポートフォリオの運営を担当。
資産規模と投資戦略
過去最高の投資規模: 2025年3月期の純資産総額は4,340億シンガポール・ドル(約49兆4,760億円)で過去最高を記録。外国直接投資が36%、国内企業持ち株が41%、ファンド・資産運用会社投資が23%を占める。
投資テーマ: 「デジタル化、持続可能な生活、消費の未来、高齢化」の4つのトレンドに基づく戦略的投資を展開。外国直接投資の資産価値は2004年から2025年にかけて20倍以上に拡大し、着実な成長を実現している。