中谷防衛大臣のジブチ訪問と戦略的重要性
令和7年8月18日、中谷防衛大臣はジブチ共和国を訪問し、ゲレ大統領への表敬(現地時間11:30から約25分間)とハッサン国防大臣代行との会談(現地時間9:00から約45分間)を実施した。この訪問は日本にとって極めて重要な意味を持つ。ジブチは「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンの実現における重要なパートナーであり、自衛隊の海賊対処行動、中東地域における情報収集活動、在外邦人等輸送などの国際的任務を遂行する上で不可欠な拠点国である。
長年の協力関係への感謝と今後の継続確認
中谷防衛大臣はジブチ共和国政府及び軍からの長年にわたる支援に対する深い感謝を表明し、特に自衛隊拠点のための土地提供や活動支援について謝意を示した。ゲレ大統領との表敬では、今後とも日ジブチ間の防衛協力・交流を更に強化していくことを相互に確認した。ハッサン国防大臣代行との会談でも、二国間関係の重要性について認識が共有され、日本からジブチへの支援についてジブチ側からも謝意が表明されるなど、相互利益に基づく協力関係の深化が確認された。
地域安定への貢献と海上交通路の保護
両大臣は地域情勢についても詳細な意見交換を行った。中谷防衛大臣は、欧州とアジアを結ぶ極めて重要な海上交通路であるソマリア・アデン湾での海賊対処行動を継続し、地域の平和と安定に寄与していく意向を表明した。これに対してハッサン大臣からは自衛隊の継続的な活動への期待が表明され、地域の海洋安全保障における日本の役割の重要性が再確認された。紅海とインド洋を結ぶ戦略的要衝であるジブチでの協力は、グローバルな海上交通の安全確保に直結する重要な意義を持っている。
新たな協力分野の拡大と人的交流の深化
今回の会談では具体的な協力拡大も合意された。これまで実施してきた災害対処能力向上の能力構築支援事業に加えて、新たに軍楽隊の育成事業を本年より開始することで合意した。この新事業は軍事協力における文化的側面の重要性を示すものであり、両国軍の絆をより深める効果が期待される。また、両大臣は部隊間交流の深化、ハイレベル交流の継続、教育交流の充実についても確認し、多層的な人的ネットワークの構築を通じて持続可能な協力関係の発展を目指す方針を明確にした。これらの取り組みは二国間防衛関係の質的向上と長期的安定に寄与するものである。