第9回アフリカ開発会議（TICAD9）において、農林水産省と国際農業開発基金（IFAD：International Fund for Agricultural Development）が共催するイベントの開催について発表したものです。
イベント開催の背景と意義
TICAD9における本イベントは、アフリカ地域の持続可能な農業発展と食料安全保障の確保に向けて、日本の農林水産分野での知見・技術とIFADの国際開発金融機能を組み合わせた効果的な協力体制の構築を目指して企画されました。アフリカは世界人口の約17%を占めながら、食料不安人口の約4分の1が集中しており、農業生産性向上と栄養改善が急務となっています。
農林水産省とIFADの協力関係
国際農業開発基金（IFAD）は、1977年に設立された国連専門機関で、農村地域の貧困削減と食料安全保障向上を主たる目的としています。日本は設立当初からの主要な資金拠出国であり、これまでもアジア・アフリカ地域での農業開発プロジェクトにおいて密接な協力関係を維持してきました。今回の共催イベントは、この長年の協力関係をさらに発展させる重要な機会として位置づけられています。
予想される討議テーマ
イベントでは、気候変動に対応した農業技術の開発・普及、小規模農家の生産性向上とバリューチェーン強化、農村地域における雇用創出と所得向上、女性・若者の農業参画促進、デジタル技術を活用したスマート農業の導入等、多岐にわたるテーマについて包括的な議論が予想されます。これらは、アフリカ農業の構造的課題解決に不可欠な要素として認識されています。
日本の技術・ノウハウの活用
日本は、限られた農地での生産性向上、品種改良、精密農業、食品加工・保存技術、協同組合システム等において、アフリカ地域に有用な技術・ノウハウを多数保有しています。特に、アジア地域での緑の革命において果たした役割や、ネリカ米の開発・普及で示された現場主義のアプローチは、アフリカ農業の発展において重要な示唆を提供するものと期待されています。
多国間協力の枠組み強化
本イベントは、二国間協力を超えた多国間協力の重要性を確認し、国際機関、民間企業、NGO、学術機関等の多様なステークホルダーによる連携体制の構築を目指しています。特に、持続可能な開発目標（SDGs）の達成に向けて、官民連携による効率的で効果的な資源動員と技術移転の仕組み作りが重要なテーマとなる見込みです。
アフリカ農業の未来への投資
イベントを通じて、アフリカ農業の潜在力を最大限に引き出すための投資促進と技術協力のあり方について具体的な議論が展開されることが期待されます。人口増加と経済成長が続くアフリカ地域において、農業は経済発展と雇用創出の中核的役割を担っており、国際社会による戦略的支援の拡充が求められています。
記事は、TICAD9における農林水産省・IFAD共催イベントが、日本とアフリカの農業分野での協力関係を新たな段階に押し上げ、持続可能で包摂的な農業発展モデルの創出に向けた重要な一歩となることを示しています。