日本政策投資銀行が2025年9月2日に発表した「2025年度設備投資計画調査」によると、大企業(資本金10億円以上)の2024年度設備投資は前年比10.5%増加し、3年連続の増加となった。通信・情報分野のAI計算基盤構築や自動車の電動化投資が主な増加要因となり、非製造業はバブル期を超える高い伸び(12.6%増)を記録した。
2025年度の設備投資計画は前年比14.3%増を見込み、計画時点としては4年ぶりに20%を下回ったものの、米国の関税強化など先行き不透明感がある中でも二桁増を維持している。製造業は自動車の電動化投資継続や素材業種を中心とした脱炭素投資により21.0%増の高い伸びを継続する一方、非製造業は前年度の高い伸びの反動から11.3%増に減速する見通しだ。
調査では、米国の関税強化の影響についても分析している。影響はまだ顕在化していないものの、中国拠点を縮小する動きが顕著になっており、日本を含むサプライチェーン多様化の動きがみられる。2025年度の海外設備投資計画は国内投資の伸びを下回り、海外投資比率の低下傾向が続いている。
企業経営面では、物価上昇や人手不足をリスクと認識する企業が多く、価格転嫁や賃上げのスタンスは変わらないものの、賃金の引上げペースは鈍化している。デジタル化投資はコロナ以降高い水準で推移し、AI活用がさらに高まっている。脱炭素投資では価格転嫁が最大の課題となっており、省エネ・再エネが中心だが、中長期では水素・アンモニアなど新技術への注目も高まっている。