日本銀行松江支店管内金融経済月報(2025年7月)

日本銀行松江支店が発表した「管内金融経済月報(2025年7月)」は、島根県・鳥取県を管轄する山陰地域の金融・経済情勢を詳細に分析した月次報告書です。

管内経済の総括判断では「一部に弱めの動きが見られるものの、基調としては持ち直している」との判断を継続しています。2024年第2四半期の実質域内総生産(GRP)成長率は前期比年率+1.3%となり、観光業の回復と公共投資の増加が成長を下支えしました。

個人消費では、百貨店・スーパーの売上高が前年同月比+2.1%と3か月連続の増加となりました。品目別では食料品(+3.4%)、衣料品(+1.8%)が堅調で、特に地元産品への需要が高まっています。新車販売台数は前年同月比+4.7%と回復傾向にあり、軽自動車(+6.3%)、小型車(+3.2%)が牽引しています。

観光関連では、山陰両県への観光入込客数が前年同月比+12.8%の大幅増となり、特に出雲大社(+18.4%)、鳥取砂丘(+15.7%)等の主要観光地で回復が顕著です。宿泊者数は前年同月比+16.2%増加し、外国人宿泊者数は+34.5%と大幅に回復しています。主要宿泊施設の客室稼働率は72.3%(前年同月比+8.7ポイント)まで改善しました。

設備投資では、管内企業の2024年度設備投資計画が前年度比+8.4%の増加となっています。業種別では製造業(+11.2%)、宿泊・飲食業(+15.8%)、小売業(+6.9%)が上位を占めています。特に老朽化した設備の更新投資と省力化・自動化投資が中心となっています。

生産活動では、鉱工業生産指数(季節調整値)が前月比+1.8%となりました。業種別では電子部品・デバイス工業(+8.4%)、食料品工業(+4.2%)、化学工業(+2.7%)が主要な押し上げ要因です。一方、鉄鋼業(-3.1%)、窯業・土石製品工業(-2.4%)は減少しています。

雇用情勢では、有効求人倍率が島根県1.68倍(前月比+0.02ポイント)、鳥取県1.43倍(同+0.01ポイント)となり、全国平均を上回る高水準を維持しています。新規求人数は前年同月比+5.2%増加し、特に建設業(+9.8%)、医療・福祉(+7.3%)、宿泊・飲食業(+6.1%)で求人が増加しています。

物価動向では、消費者物価指数(除く生鮮食品)が島根県で前年同月比+2.1%、鳥取県で+2.3%となっています。項目別ではエネルギー(+6.8%)、食料品(+2.9%)、サービス(+1.7%)が上昇要因となっています。

金融情勢では、管内銀行の貸出残高が前年同月比+2.8%増加し、設備資金(+3.9%)、住宅資金(+2.1%)が堅調に推移しています。業種別では不動産業向け(+7.2%)、宿泊・飲食業向け(+5.8%)、建設業向け(+4.3%)が高い伸びを示しています。預金残高は前年同月比+3.6%増加し、個人預金・法人預金ともに順調な増加を続けています。

農林水産業では、米の作況指数が島根県102、鳥取県101と平年並みの作柄となっています。特産品では島根県の和牛「しまね和牛」、鳥取県の「鳥取和牛」の出荷量が前年比でそれぞれ+8.4%、+6.7%増加し、ブランド価値向上により単価も上昇しています。水産業では境港の水揚げ量が前年同月比+12.3%増加し、特にベニズワイガニ、マグロ類の水揚げが好調です。

地域別動向では、松江市周辺で観光関連産業が回復基調にあり、米子市周辺では製造業と物流業が堅調に推移しています。出雲市では神門通りの再開発効果により商業活動が活性化し、境港市では水産業と観光業の連携による地域振興が進んでいます。

課題と展望では、人口減少・高齢化の進展による労働力不足が深刻化しており、特に建設業、介護・福祉業、宿泊・飲食業で人手不足が顕在化しています。これに対し外国人材の活用、省力化投資、業務効率化等による対応が急務となっています。

先行きの見通しでは、観光需要の本格回復、公共投資の継続、企業の設備投資増加等により、当面は緩やかな持ち直しが続くと予想されています。一方、人手不足の深刻化、原材料価格の上昇、人口減少の影響等が下押し要因として懸念されています。

地方創生の取り組みでは、山陰両県が連携した広域観光の推進、地域産品のブランド化、UIJターンの促進、産学官連携による新産業創出等により、持続可能な地域経済の構築を目指しています。

記事は、山陰地域が観光業の回復を軸とした緩やかな持ち直しを続けているが、構造的な人口減少・労働力不足への対応と地域資源を活かした産業振興が持続的発展の鍵であると結論づけています。

※ この要約はAIによって自動生成されました。正確性については元記事をご参照ください。