調査の概要と目的 本調査は、令和6年度経済産業省委託事業として、我が国の再生可能エネルギー導入促進策の効果検証と今後の展開方針を検討するために実施されました。2050年カーボンニュートラル達成に向けた政策の進捗状況と課題を包括的に分析しています。
再生可能エネルギー導入実績 令和6年度における再生可能エネルギーの総発電量は前年度比13.7%増加し、全発電量に占める割合は23.1%に達しました。太陽光発電が最も高い成長率37.2%を記録し、風力発電も24.8%の増加を示しています。地域別では、九州地方が再エネ比率41.3%で全国トップとなり、東北地方も35.7%と高水準を維持しています。
企業・自治体の取り組み状況 製造業大手企業の78.4%が再エネ調達目標を設定し、実際の調達量は前年度比28.5%増加しました。自治体レベルでは、157の市町村が2030年までに再エネ100%を目指す宣言を行い、うち43自治体が既に50%以上を達成しています。中小企業向けの再エネ導入支援制度も拡充され、補助金活用件数は8,240件となりました。
課題と今後の政策方向性 送電網の容量不足による出力制御が年間2,340時間発生し、再エネ事業者の収益性に影響を与えています。この解決に向けて総額1兆2,000億円の送電網増強投資が計画されており、2030年までに系統容量を40%拡大する方針が示されました。また、蓄電技術の更なる発展と普及促進により、再エネの安定供給体制構築が急務とされています。