令和8年度第5回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録
概要
令和8年7月29日の安全対策調査会では、オランザピンの「使用上の注意」改訂と一般用医薬品ロキソプロフェンのリスク区分を審議した。オランザピンは、化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)に限り、血糖管理などの条件を設けて糖尿病患者等への禁忌を解除し、製造販売業者に改訂を指示することを了承した。ロキソプロフェンは、販売時の説明、研修、注意表示や実態調査などを条件に指定第2類医薬品へ変更する方針を了承し、具体的条件の整理とパブリックコメント手続に進むこととした。
要点
- オランザピンはCINVに使用する場合に限り、糖尿病患者等への禁忌を解除する添付文書改訂を了承した。
- ロキソプロフェンを指定第2類医薬品へ移行する方針を、複数の対応条件付きで了承した。
- ロキソプロフェンの具体的条件を文書化し、パブリックコメントと安全対策部会での審議に進める。
概要
調査会は令和8年7月29日に開催された。公開はYouTubeのライブ配信で行い、議事録は後日、厚生労働省ホームページに掲載すると説明された。
審議事項は、オランザピンの「使用上の注意」の改訂と、一般用医薬品のリスク区分だった。委員は6名全員が出席し、定足数に達した。
長年リスク区分が再検討されていない品目があることを受け、一般用医薬品の区分変更の要否を定期的に検討する仕組みが設けられ、令和8年4月1日から要望を受け付けている。今回、ロキソプロフェンの要望を審議した。
影響
参考人は、糖尿病患者がオランザピンを含まない3剤併用療法に限られることで、非糖尿病患者より強い悪心・嘔吐を経験し、患者の苦痛や生命予後への悪影響が懸念されると述べた。
参考人によると、高度催吐性化学療法で制吐薬を使用しない場合は90%以上の患者が嘔吐し、従来の3剤併用療法の嘔吐完全抑制割合は約60%だった。オランザピンを加えた4剤療法は国内試験で85~90%の抑制割合が示された。
参考人が説明した第III相試験では、シスプラチン試験の遅発期嘔吐完全抑制割合はオランザピン群79%、プラセボ群66%、乳がんAC療法試験ではそれぞれ58%、36%だった。
詳細
対象はオランザピン経口剤をCINVに用いる場合に限る。糖尿病患者等への投与は、血糖コントロールが良好な患者を入院下で管理し、投与前・投与期間中に毎日頻回の血糖測定を行い、退院日は直近の採血で血糖の安定を確認し、緊急対応体制を整えることを前提とする。退院後の症状に関する患者・家族向け資材の作成、医療機関への血糖モニタリング情報の提供、安全性調査も予定される。
オランザピンは2000年12月に統合失調症の効能で承認され、2002年4月に緊急安全性情報を受けて糖尿病患者等が禁忌となった。2017年2月にCINVの効能が追加されたが、禁忌範囲は維持されていた。調査会の了承を受け、製造販売業者に使用上の注意改訂を指示する。
ロキソプロフェン経口剤は2015年1月22日に第1類医薬品に指定された。今回の申出は指定第2類への移行を求めるもの。指定時には、類薬より厳格に扱う理由はないとの調査会意見があった一方、出荷数、家庭での常備や妊娠後期のリスクなどを踏まえ、部会は第1類とした経緯が説明された。
提出資料では、直近3年間の副作用発現割合は指定時調査より高いとはいえず、区分指定後の重篤副作用は毎年1桁程度とされた。区分指定後の63例中8例は未知の副作用で、未知・重篤副作用は8件、死亡転帰の1例は因果関係評価不能だった。重篤副作用の類薬比較は2011~2025年でロキソプロフェン77症例、アスピリン127症例、イブプロフェン421症例だった。
2026年5~6月の適正使用調査では、1回の服用錠数に関する不適正使用率は5.9%、本来3~5日間とされる連続服用期間について6日間以上の使用は5.1%だった。妊娠中・妊娠後期の該当者は0%で、企業は服用錠数・期間の注意喚起を強調し、妊娠後期への注意喚起も継続するとした。
移行条件として、製造販売業者には服用量・期間や成分重複の注意表示、研修・チェックリスト等の資材提供、副作用・適正使用の調査が論点となった。販売側には登録販売者の研修、販売時の説明・確認、重篤な副作用の初期症状と報告対応の周知、必要に応じた薬剤師との連携が求められる。調査会はこれらの条件を文書化した上で指定第2類とする方針を了承した。