埼玉りそな産業協力財団の主任研究員青木淳子氏による地域研究レポートで、地方議会における女性議員比率の現状と向上に向けた取り組みについて分析した報告書です。
2025年6月に公表された2025年のわが国のジェンダー・ギャップ指数は148か国中118位で前年と同順位でした。ジェンダー・ギャップ指数とは、経済、教育、健康、政治参加の分野における各国の男女間の不均衡を示す指標で、毎年世界経済フォーラムが公表しています。わが国の場合、教育分野と健康分野については他国と遜色ないものの、経済分野と政治参加分野におけるスコアが低く、特に政治参加分野の男女格差が大きいために毎年低い順位にとどまっています。
男女共同参画社会実現のために、政策・方針決定に女性の参画を増やすことの重要性は以前から指摘されており、2000年代初頭から国や各地方公共団体では審議会委員に占める女性の割合の目標値を設定するなどの取組みが行われてきました。しかし、実際にとって有権者に選ばれる議員については目標値を設定する例はあまりみられませんでした。
審議会委員に占める女性の割合は一定程度高まったものの、近年では全国、埼玉県ともに横ばい状況が続いています。2017年には「政治分野における男女共同参画推進法」が施行され、施行後の市区町村議会への女性の参画の変化や、女性の議員を増やすための取組みなどの状況について見ていきます。
「政治分野における男女共同参画推進法」は2018年5月に成立・施行された法律で、男女の候補者ができる限り均等になるよう努めるため、議員が公職活動と家庭活動を両立しているよう、国や地方公共団体、政党などの責務が定められました。2020年度に地方議員と立候補を検討したが断念した人を対象に、内閣府が「女性の政治参画への障壁等に関する調査研究」を実施した結果、「性別による差別やセクシュアルハラスメントを受けることがある」「議員の公職活動と家庭生活などの両立が難しい」等で男女の差が大きく、女性の政治活動にとって障壁となっていることが分かりました。
埼玉県の市区町村議員に占める女性比率の現状をみると、施行前の2017年には、埼玉県内で女性の議員の比率が40%以上を占める市町村議会は1.6%、具体的には本庄市の1市のみでした。女性議員比率が30%以上40%未満の市町村は6.3%を合わせても、女性議員が30%以上の市町村議会は1割に満たなかった状況です。一方、2024年になると、女性の議員が30%以上の市町村議会は県全体の38.1%を占めるまでになり、特に、三芳町議会では女性が53.3%を占めるなど、全国的にみても高い割合となっています。
記事は、政治分野における男女共同参画推進法の施行により埼玉県内の地方議会における女性議員比率が大幅に改善したものの、さらなる向上に向けて環境整備や意識改革が必要であることを示しています。