種の保存法施行状況の包括的評価
環境省が公表した「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」（種の保存法）施行状況評価報告書は、同法の実施状況と生物多様性保全への効果を詳細に分析している。
法制度の運用実績
指定種の拡大と保全効果:
- 国内希少野生動植物種: 指定種数の継続的拡大と保全状況の改善
- 特定国際種事業: ワシントン条約に基づく規制の適切な執行
- 生息地等保護区: 重要生息地の指定拡大と管理体制の強化
保全事業の成果:
- 人工繁殖・増殖事業による個体数回復事例
- 生息地環境の改善・復元による生態系機能の向上
- 地域との連携による持続可能な保全活動の推進
法施行の課題と改善点
制度運用上の課題:
- 新たな絶滅危機種の早期発見・指定システムの改善必要性
- 気候変動の影響による生息域変化への対応策強化
- 外来種対策との連携による総合的な生物多様性保全
執行体制の強化:
- 科学的データに基づく保全優先度の設定
- 自治体・研究機関・民間団体との協力体制拡充
- 国際的な保全ネットワークへの積極的参画
今後の政策方向性
法制度の見直し方針:
- 社会経済情勢の変化に対応した制度改正の検討
- デジタル技術を活用した効率的な監視・管理システムの導入
- 予防原則に基づく早期警戒・対応システムの構築
生物多様性国家戦略との連携:
- 2030年ビジョンの実現に向けた具体的行動計画
- 自然を活用した解決策（NbS）の積極的推進
- 生態系サービスの経済価値評価と政策への反映
国際的取組との整合性
愛知目標・昆明・モントリオール生物多様性枠組への貢献:
- 生物多様性損失の阻止・回復に向けた具体的行動
- 遺伝的多様性の保全と持続可能な利用の促進
- 先住民・地域コミュニティとの協働による保全活動