レポート一覧

日本労働研究雑誌 2025年5月号(No.778)~特集:ストライキ

労働政策研究・研修機構が発行する「日本労働研究雑誌2025年5月号」(No.778)は「ストライキ」を特集テーマとした学術論文集です。野田進九州大学名誉教授による提言「労使コミュニケーションのためのストライキ?」から始まり、ストライキの現代的意義と課題、戦後日本の石炭産業におけるストと労使関係、労働組合員の意識データを用いた実証分析、アメリカの労働組合再生事例、フリーランスの団結権保障問題など、多...

提言:労使コミュニケーションのためのストライキ?:ストライキ

野田進九州大学名誉教授による提言論文で、現代日本におけるストライキの意義を「労使コミュニケーション」の観点から再考しています。従来のストライキが労働条件改善や抗議の手段として位置づけられてきたのに対し、本稿では労使間の対話促進ツールとしての可能性を提起します。日本の労使関係が協調的とされる中で、ストライキは対立の象徴とみなされがちですが、実際には労使双方が本音で話し合う契機を作る「コミュニケーショ...

解題:ストライキ

日本労働研究雑誌2025年5月号の「ストライキ」特集における編集委員会による解題です。戦後日本におけるストライキの歴史的変遷と現状を概観し、本特集の各論文の位置づけと意義を明らかにしています。1970年代をピークに日本のストライキ件数は大幅に減少し、現在では年間数十件程度となっていますが、その背景には労使関係の変化、雇用制度の変容、労働組合組織率の低下などがあります。本特集では、ストライキの歴史的...

ストライキの現代的意義と課題~日本の歴史と実態をふまえて:ストライキ

禹宗杬法政大学教授による論文で、現代日本におけるストライキの意義と課題を歴史的視点から分析しています。戦後日本のストライキは1970年代後半から急激に減少し、現在では労働争議の主要な手段としての地位を失っていますが、その背景と現代的意義を検討しています。高度経済成長期の大規模ストライキから、石油ショック後の労使協調路線への転換過程を詳細に追跡し、企業別組合制度、終身雇用制、年功序列制といった日本的...

戦後日本におけるストと労使関係~石炭産業の事例:ストライキ

島西智輝立教大学教授による論文で、戦後日本における石炭産業のストライキと労使関係を詳細に分析した事例研究です。石炭産業は戦後復興期から高度経済成長期にかけて日本最大のストライキ発生産業であり、1960年の三井三池争議に代表される大規模労働争議の舞台となりました。本稿では、石炭産業特有の労働環境、坑夫の労働条件、経営側の合理化政策と労働組合の対応を時系列で追跡し、ストライキの発生メカニズムと労使関係...

ストライキと組合活動の経済学的考察~日本の労働組合員の意識データを用いた実証分析:ストライキ

齋藤隆志明治学院大学教授による論文で、日本の労働組合員の意識データを用いてストライキと組合活動の関係を経済学的手法で実証分析しています。労働政策研究・研修機構の「労働組合員の意識と行動に関する調査」データを活用し、組合員のストライキに対する態度、参加意欲、効果認識などを定量的に分析しています。分析結果では、年齢、勤続年数、職種、企業規模などがストライキ意識に与える影響を明らかにしており、特に若年層...

ストライキと労働組合再生の道~アメリカを事例として:ストライキ

新川敏光法政大学教授による論文で、アメリカの労働組合再生事例を通じてストライキの役割と可能性を考察しています。1980年代以降、アメリカでは労働組合組織率の著しい低下が続いていましたが、近年、若年労働者を中心とした新たな労働運動の展開により組合活動が活性化しています。特に、スターバックス、アマゾン、アップルなどの大手企業での組合結成運動や、教師、看護師、運輸労働者などによる大規模ストライキが注目さ...

フリーランスへの団結権保障は「集団的物乞い」の承認で足りるか~EUにおける経緯と議論から:ストライキ

井川志郎中央大学教授による論文で、フリーランス労働者の団結権保障をめぐるEUの議論と政策展開を詳細に分析しています。フリーランスなど非雇用労働者の増加に伴い、従来の労働法制度では保護されない労働者の権利保障が重要課題となっています。EUでは、競争法(独占禁止法)との関係でフリーランスの団体交渉権が制約されてきましたが、近年、労働者保護の観点から政策転換が図られています。本稿では「集団的物乞い」とい...

インタビュー:企業の組織再編と労働運動~そごう・西武労働組合のストライキをめぐって:ストライキ

2023年に発生したそごう・西武労働組合のストライキをめぐる当事者インタビューで、企業の組織再編期における労働運動の実態を詳細に記録した貴重な証言集です。寺岡泰博そごう・西武労働組合中央執行委員長と西嶋秀樹髙島屋労働組合中央執行委員長らが、セブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武売却問題とこれに対する労働組合の対応について語っています。特に、雇用不安、労働条件変更、事業譲渡に伴う労働者の権...

書評:西村和雄・八木匡 編著『学力と幸福の経済学』

山村英司西南学院大学教授による書評論文で、西村和雄・八木匡編著「学力と幸福の経済学」(日本評論社)を労働経済学の視点から詳細に検討しています。本書は教育と幸福度の関係を実証的に分析した研究書で、学力向上が必ずしも幸福度向上に直結しないという興味深い知見を提示しています。特に、過度な競争的教育環境が子どもの幸福度に与える負の影響、学習時間の長さと学習効果の関係、親の教育期待と子どもの学習意欲の相関な...